第二話
奉納祭の七日前。毎回余裕をもって出立する。湖水の上に造られた都を出て、途中の
渓谷に特級の妖鬼が住むという噂が、十数年前から五大一族の中で広まっており、ある程度の警戒をしながら
噂だけを聞けば、生まれた時から醜い顔のせいで仮面を付けさせられているとか、急に歌いだしたり踊りだしたり奇怪な行動をするので、公の場には出せないのだとか。とにかく、あまり関わりたくない項目ばかり並べられていた。
「
「はい、すぐに戻りますのでご心配なく」
「私もついて行っていい?」
「なぜ?」
「ついて行きたいから?」
なぜ疑問符で答えるのか。理由もなく行動をしない
「····かまいませんけど、」
「本当!? 君がそんなこと言うなんて珍しいっ」
嬉しそうに顔を綻ばせて言うので、
ふたり並ぶと少しだけ
「なんだ、てっきり意中の女人がいて、毎回逢いに行っているのかと思ったよ」
森の怪異を鎮め終えて帰る途中、
「そんなひとはいません」
「そうか。残念。まあ、怪異も鎮められたし有意義な時間だったよ」
あははと大扇を仰ぎながら、元来た道を帰る。
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