4-25 神子の印
乳白色の温泉は露天風呂で、顔は涼しく身体はその分あたたかい。
話し合った後に一度みんなで入ったので、
(それにしても細いな。ちゃんとご飯食べてるのかな?)
生白い自分の肌は仕方ないとして、
いつもと違い、頭の天辺にお団子を作って纏めている。ほんのりとお湯のおかげで色付いているが、手足も腰も細いことに変わりはない。
「どうしたの? 今日は静かだね、」
珍しいものでも見るように、
「まったりしてるだけだよ。ああ、そうだ、ほら、前に言ったこと憶えてる?
あの渓谷で衣を剥がれたことを思い出す。
ああ、と
「俺、そんなの見たこともないんだけど。
なぜ自分に訊くのか、と
「腰の、······右側に、······五枚の花びらの痣が······」
主に忠実な
「あはは! もうホント、最高だよ! わ、笑いすぎて、腹が痛いっ」
「
「ちがっ······そうじゃなくてっ······くくっ······」
バシャバシャと湯を叩いて、
(変わらないなぁ。うん、ふたりは昔からこんな感じだった)
幸せだ、と
「とても、綺麗だよ、」
かあぁあと
「
「あなたにだけって、言ったでしょ?」
ふっと微笑を浮かべ、絵に描いたような美しい青年は、顔を覗き込んでくる。しかし、急に
「近い。離れろ」
えーずるい。俺も俺も。と
(あの
玄武の
「ごめんね······ありがとう、ふたりとも」
「どうして謝るんだ?」
ありがとうはいいとして、どうしてごめんね、なのか。
「······なんで、だろう?」
自分でも自然に出た言葉で、そこになにか意図もなければ理由も見つからない。
「大丈夫だ······どこにも行かない。ここにいる」
「泣いてもいいよ。俺が涙を拭ってあげるから」
言って、困ったように笑う。泣かないで、とは言えなかった。どうして泣いているのかもわからない
いつまでも続けばいいと、そう、思ってしまったのだ。
そんなことは赦されないと、心のどこかで解っていながら。
翌日、一行は
竹林に囲まれている
聞いた話では、冬は雪が降れば白が映え、春や夏は緑が、秋には朱が映える、美しく賑わいのある都の、はずだった。
しかし、夕刻前に着いた都はまるで廃都かのように静まり返っており、
そしてその先の
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