4-12 弟子にしてください!
竜虎は後悔していた。
自分で誘っておいてあれだが、共通の会話が
「あー······えっと、
馬鹿か! 俺は馬鹿なのか!
訊いておいてすぐに後悔する。もちろんこんな唐突でわけのわからない質問にも
「··········特にない」
すみません、俺の質問が悪かったんです、許してください。
どうしてこんな苦痛をわざわざ味わっているのかと言えば、答えは一つ。これからどうやってこのひとと向き合えばいいのか、を模索するためだった。
目の前には
それから沈黙が続く。
この茶屋はそれぞれ個室になっていて、大きな花窓が入り口から見て左側にある。右側には木製の赤い衝立があり、個室と通路を仕切っている。
周りの声はそれなり聞こえるので、茶屋自体は賑わっているのが分かる。ここの空間以外は、だが。
「······君は、なぜ強くなりたいんだ?」
まさかの
「き、急に、なんですか? なんで、そんなこと、」
自分の質問も大概だったが、
「俺は、ずっと昔からあいつを見てきました。あいつを傷付ける奴は赦さないし、絶対に負けたくない。
こんなこと、誰にも話したことなどない。父や母はもちろん、
つまりは五大一族で一番だったひと。今もそれはたぶん変わっておらず、それは
「こんなこと、あなたに頼むべきじゃないのかもしれないが、」
この短い期間で今まで以上に成長したのを実感している。
恥などない。弱いのは自分が一番よく解っている。だから。
「俺を、弟子にしてください!」
深く、
「わかってます。おかしな話です。俺は
置いて行かれるのは嫌だ。
ふたり並んでいる場所に自分も立てるとは思っていない。
けれどもせめてその近くで。
手の届く場所で。
「俺は、あなたを師として仰ぎたい」
真っすぐで揺るがない、若く恐れを知らないその紫苑色の瞳は、
「······断る理由はない、」
その言葉を聞いた途端、
これは夢か幻か。いや、現実だ。あの
「では、今日から
「いや······それは、断る」
「は? なんでですかっ!?」
急に遠慮なしに突っ込みを入れてくる
それを無視し、花窓に視線を向ける。
次に向かう地は懐かしき場所。色んな意味で因果のある場所だった。
(白虎、
あの四神は少し癖があり、
遠い昔に思いを馳せながら、花窓から見える青く澄んだ空を、
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