1-10 ふたりだけの戦い
「これはものすごくよくないかも」
「この状況、どう見てもよくないだろっ!」
いつもの賑やかしさもなく、珍しくここまで無言だった
「
袖から符を取り出し、ふぅと
「絶対に、剝がしちゃだめだよ?」
「だ、大丈夫なの? あんな数、ふたりだけでなんとかなる数じゃないわっ」
震えた声で
「幸い、明日の奉納祭のために各一族の公子たちや宗主が、
落ち着かせるように
「お前は
「大丈夫。
「や、約束よ! 絶対、ね」
ふたりが頷くのを確認してから、決心したように
それを背にしたまま見送り、
すると、なにもなかった空間から白銀の刃と柄が現れ、手の中にしっかりと収まった。霊気の宿ったその剣は、霊剣と呼ばれるもので、人によって全く異なった姿形を取るという。
「
霊剣を構え、今にも飛び掛かってきそうな
「考えるより動け、だよ!」
その言葉がまるで合図だったかのように、
途端に、甲高い音色が鳴り響き、
突然上から大きな力で圧し潰されているかのように、身動きが取れなくなったその十数体のすべての
奴らは身体が軋もうが、折れようが関係ないのだ。目の前にある肉を喰らうという、ただひとつの本能のまま、動こうとする習性があった。
しかし、笛の音はそれを許さない。横笛の穴を指先が目まぐるしく動く。
それはまるで、目の前に嵐が起こっているかのような荒々しい音色で、時折耳障りな高い音が混ざって奏でられた。その度に陥没していく大地を見れば、その霊力の強さを思い知らされる。
笛の音が止んだ頃、無理だと思われたあの大量の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます