6-2 竜虎、駆ける
一体、自分たちが去った後に何があったのか。
それに加えて渓谷の妖鬼。あの
(とりあえず
背中から体温がほとんど感じられない。それほど疲労しているのだろう。上空には未だ消えない、白い光を湛えた見たこともない陣が展開されている。玄武の時もそうだったが、展開された陣は、夜が明けるまで残っていた。
陣を保ったまま霊力を消費し続けた状態で、幽鬼まで消滅させた。こんな風になるのも頷ける。
「お前は、本当に
いつか本当に遠い存在になってしまいそうで、なんだか戸惑う。いつまでこの関係でいられるのだろうか、と。
「俺は、いつまでお前の傍にいられるんだろう」
この旅が終わったら、なんだか目の前からいなくなってしまう気がしてならない。
だって、そうだろう?
この国の
今は、間違いなく傍にいるのだ。
****
「お、お、女将さんっ! 大変です! 人がたくさん倒れてますー!!」
目に映った状況をそのまま叫ぶ
女将はこの宿に結界が張られていたことも知らないし、数刻前まで起こっていた事すら気付いていないのだ。
「お、大きな声で、どうなさいました? 人がどうしたと? ひぃいっ」
扉の前に立ち塞がっている
「と、とりあえず、皆さんが無事か確かめないと! 女将さんはお医者様を呼んできてください!」
「は、はいっ」
女将は着替える余裕もなく、髪を整えることもせずに、駆け出す。慌てすぎていたせいもあって、頭上がいつもの夜よりもずっと明るいことに気付かない。足元が良く見えるな、くらいの感覚で全力疾走する。
そんな中、遠くの方から人影が近付いて来るのが見えた。その姿がはっきりと判明した時、
「
背中で眠る
「大丈夫だ。少し霊力を使いすぎて寝てるだけだ。先に宿の寝台に寝かせてやってくれ。俺はもうひとつ用があって離れる。ここは任せていいか?」
「はい、お任せください。今、女将さんがお医者様を呼んできてくれると思いますので、きっと大丈夫でしょう」
頼んだ、と
まさか、と
こんな短時間でどうにかなるわけがない。
(あとで礼を言わないと、)
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