4-17 鬼神
ああ、そうだ、と
「俺があなたの声に応えらえないとしたら、それは、俺より強い者の領域結界の中にいるか、もしくは、消滅した時かな?」
「
本当の事なんだけどな、と心の中で呟いて、
「大丈夫。俺はこう見えて強いから」
よしよしと
長い黒髪が背中にばさりと落ちる。癖の付いた髪を気にするほど几帳面でもないため、そのまま二回ほど首を横に振って背中に垂れた髪を揺らす。
邸に戻れば、もう一本予備の髪紐がある。
そして
その髪紐は今は飾り紐として、
「
そっと
「俺に、くれるの?」
「俺のじゃあんまりご利益とかないかもだけど、約束の証だよ」
約束の証? と
「うん、必ず俺の許に戻ること。そのことを忘れそうになったら、これを見て思い出して?」
「必ず、あなたの許に戻るよ」
「気を付けてね。用が済んで戻ったら、一度顔を見せて欲しい」
「うん、わかった。あなたもどうかひとりで無茶をしないで、」
肩に手を置き、ぽんぽんと軽く叩いて、安心させるようにゆっくりと優しい声音で
(
陰と陽が交わり生まれた最強の精霊なのだ。妖鬼などと一括りにしては恐れ多い存在。聖獣と同等の存在と言えよう。
人の世には間違った伝えられ方をしているようだが、これこそが真実。
「
「そんなヘマはしないよ。ちょっと気になることがあるって言ったでしょ? それを確かめに行くだけだよ」
その言葉を残して、
好奇心が仇にならなければ良いが。
(
奴らの目的がはっきりしていない以上、少しでも手掛かりがあればいいが······。
敵は、一枚も二枚も上手のようだ。しかも相当頭が切れる。邪神が今まで息を潜めていたのには理由があるはずだ。今も完全ではないのだろう。
嫌な予感がふいに胸を過った。
これから
(
白虎は四神の中で一番年下、というか若い聖獣だ。癖のあるあの者が、
ここ数日、西の方に黒い靄がかかっていた。そして同時期から
衣を翻し、
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