4-21 あの日の真実
途中、黒衣を纏った怪しげな男を見つけ、その後をつけて行ったところ、思いもよらない場面に出くわした。
結界壁の前で男が襲われて倒れ、息絶える。青い鬼面は闇夜に悪目立ちしており、
その手に握られた灯篭の中の紫色の光は禍々しい気を放っており、それは忘れもしない存在を
(あれは······まさか、)
その瞬間、透明な糸が
(結界壁の様子を見に来てみれば、それ以上の収穫だったようだ)
闇に身を隠して姿を晦ませる。鬼面の青年はその先へ何の影響も受けずに進んで行った。その様子を見て、やっぱりね、と
あの結界は、とっくに効果を失っている。それでも
新しく施した者の仕業か、もしくは施した後に細工をしたか。見た目は完璧に結界壁。並みの術士が見ても解らないだろう。そもそもこの地を訪れる者などいない。
あの夜、
そして用意されていた陣が発動した。ここで霊力を失うほどの力を使わせ、
会話を聞く限り、
(そこでまた計画は変わったってことだね、)
それさえも計算済みだったのかもしれない。もしもの時のために、
謀主の読み通り、五大一族の前に素顔とその能力を晒すことに成功する。
そして、宗主に決断させる。
特別に
(そして、諮らずとも、
あの灯篭の中の光は、間違いなく、邪神、
(まさかとは思うけど、
そんなことはあり得ない。邪神に身を空け渡すわけがない。それ以前に、神聖な
(それを可能にするなにかがあるのか?)
四神の契約がどうのこうのと言っていた。そもそも四神の契約を結べば、奴らが動きにくくなるだけだろう?それなのに手助けをする理由はなんだ?
わざと宝玉を穢れされ、契約をせざるを得ない状況を作った本当の目的は?
「
今世では
あの鬼面の青年が誰かということは、今はとりあえずどうでもいい。いずれ解ることだろう。
音は立てていないつもりだったというのに、奥から現れた影に、思わず顔を上げる。
「あ、えっと、こんばんは?」
その間抜けな挨拶に、くすくすと肩を揺らす少女のようなその人は、
あろうことかその場に跪き、深く拝礼をし始めたのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます