4-10 どうしよう!
「きょ、今日はありがとう! 日誌は見つからなかったけど、ここに連れて来てくれて嬉しかったよ」
外はもう陽が沈みかけていた。ほぼ一日中食事もせずにいたことになる。
本当なら昼過ぎには帰るはずだったのに、
それでも
「
夕陽に照らされた頬は、きっとどれだけ赤くても解らないだろう。
このままの状態で邸に帰るのは嫌だった。だって、別にあんな風にされて嫌だったわけじゃない。少し驚いただけ。
よく考えたら、普段は
そもそも今までだって、それ以上のことをしてきた。だから、今になってどうしてこんなにも胸がざわざわするのか不思議でならなかった。
そんな気持ちを誤魔化すように、
「今日の夕餉はなにかな~。楽しみだね、」
繋いだ手の温度はまったく覚えていない。何を話したかも、忘れてしまった。とにかくいつも通り、何でもない話を
そして、邸に着いて
****
(俺、どうしちゃったんだ!? 心臓痛い! 頭ぐるぐるする! もしかして
自分で考えていても支離滅裂な心の声に、いよいよどうにかなってしまいそうだった。こんなことは今までなかったのに、本当に病気なのでは?と心配になる。
別邸の扉の前で百面相をしている
夕餉の準備が整ったので呼びに来たのだが、なぜか主が扉の前でひとり奇怪な動きをしていた。それを見た
(うわぁ······久々に
声をかけるのを躊躇う。
しかしそんなことを考えている内に、扉の片方が勝手に開く。
「なにやってるんだ、そんなところで」
「竜虎! どうしよう! 俺、この辺りがおかしいっ」
「いや、お前がおかしいのは頭だけだ」
涙目で懇願してくる義弟に対して、冷静に分析して
「夕餉の準備ができましたよー。さあさあ早く行きましょう」
後ろでぎゃあぎゃあと相変わらずの押し問答をしている
それくらい、ここは居心地が良かった。
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