5-13 大丈夫だよ
白虎との契約を終え、堂を後にしたふたりだったが、都の外れにある
今はその闇が降りつつある空の上から、都を見下ろしている。灯りはぽつぽつと点いているが、どれも疎らで、本来の都であればもっと多くの光があったことだろう。ぼんやりと浮かぶ半月の方がずっと明るく感じた。
春も終わり、夏を迎える今の頃は、この時間でもそこまで寒さは感じない。
薄墨色の空を行く
「
「······誓う」
理由は訊かずに、しかし少し間をおいて
「
耳元に近い位置にある
「どういう風に相手が動くかは予想でしかないけど、たぶん、
わざわざ自分の邪魔をする者たちを、招き入れるはずはない。宗主が不在ならば、
「失踪した少女たちの特徴を聞く限り、今都で起こっているふたつの事件は、いずれもひとつの物事を覆い隠すためのまやかしみたいなもの」
「会ってみない事にはなんとも言えないし、実際、少女たちがどうなっているかは俺にも予想できない。最悪の事態も考えられる····そうでないことを願いたいけど」
「奉納祭の夜に、長女の
「もし、仮に、その時から
一体いつから、今のこの状況を仕組まれていたのか。偶然ではないということだけは確か。
「その長女に会って、確信が持てたら、合図を送るね。そしたら、なにも言わずに俺がすることを見ていてくれる?」
「わかった」
へへっと
「あと、もし、俺がそのひとになにかされても、絶対にそのひとを傷付けちゃダメだよ?それも、約束してくれる?」
「約束する」
ありがとう、と
「俺が狙いなら、それ以外の者を排除しようと、きっと
「それもまた、見えない誰かの筋書き通りというわけか、」
そうだね、と
「じゃあ、邸から見えないあの角辺りで降りよう。あ、俺の事も、降ろしてね?」
「········うん、」
最後の方のお願いに関してはなんだが不服そうだったが、言う通りに角の辺りで地面に降り立ち、そのまま
「
屈んで降ろした後、ゆっくりとこちらを向いた
「君が、心配だ」
左の頬に触れる。顔色が悪いせいか、風に当たりすぎたせいか、ひんやりと冷たい頬に不安を覚える。けれども
そして並んで歩くその先に、ふたつの灯篭の灯りが見えた。
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