5-12 点と点が繋がる時
しかし、この場で話さずに、一体どこで話すというのか。
「
紫苑色の瞳は真っすぐに
彼女がここに残っている時点で、なにか言いたいことがあるのだと察してはいたが、言葉を紡いでもらうのに予想以上の時間がかかった。
「姉上は、あの
「なにか、変化があった?」
こく、と
「急に私と母上への態度が変わってしまったんだ。ずっと優しくていつも柔らかく笑っていたあの姉上が、あんな風になるなんて、絶対におかしい。姿が見えなくなったあの数刻の間に、何かあったとしか思えなかった」
円卓の下で握られた拳が、固く握られる。
「
関りはないと信じていたが、
「姉上は人形を作るのが昔から好きで、自分で衣裳も縫っていた。私や妹の
「人形? 失踪事件と何の関係があるんだ?」
「行方知らずになっている少女たちに共通するものを、知っているか?」
「確か、みんなそれなりの名家の子で、十五歳。色白で美しいと評判の、背は低めで細身····長い黒髪の子だったはず、」
「そう。
「
「失踪した少女たちの特徴を、····
「そもそも、
首に下げている琥珀の玉飾りに触れ、そのまま握りしめる。
案の定、
「母上が言っていた。姉上が関わっているかもしれない、と。証拠を見つけ次第、拘束するつもりでいた。けれど、その頃に
そして、
そこに
「姉上は母上は自室にいるというけれど、近づくのも許さず、あれ以来顔を見ていない。
「見てはいけないモノを見てしまった可能性が高いってことだな」
生きているのか、最悪の事態になっているのか、今の時点では解らない。それが姉の手によるものなのかも解らない。全く違うなにかなのかもしれない。そうであって欲しいと願う。
「······
ふたりが神妙な面持ちで話し合う中、
その続きを聞き終えた丁度その時、外から異様な気配を感じ、二階の部屋の木枠の窓を勢いよく開けた。その瞬間、あの白い光が辺りを包み、それに弾かれた
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