4-3 泣かないで
玄冥山。玄武洞。
涙。
それは拭っても拭っても流れてくる。
「
「私に当たるな。あれは
しかし消えたということは、契約が終了した証。現に、
「契約は結ばれた。
「······結局、こうなるのか」
(できることなら、
ただ、普通に、生きて欲しかった。だが結局、流れは止められなかった。
「
「
瞼が震え、ゆっくりと翡翠の瞳が開かれる。
(······俺は、
真実を、知ってもなお。それを認めたくない自分がいる。
「大丈夫? どこか痛むの?」
伝えてあげないと。解放してあげないと。でも、それで彼らは救われるの?
ずっと、支えにしてきた者に、自分の事はもう忘れて、新しい人生を生きて欲しいなんて。もう待たなくていいよ、なんて。
そんな、残酷なこと。
「······
名前。自分の、名前。けれど、本当の名は、誰にも言ってはいけないと
どうして自分は、
「······うん、大丈夫だよ、」
せめて、大事な事は伝えてあげたい。だって、それが
「
口から零れた言葉に、自分で傷付く。
「······そうか、」
顔を覆ったまま、
「永遠の輪廻の制約は、自害すること以外は嘘だったって······長い時間、縛ってごめんって········ありがとう、って言ってた。自分はもういないから、君が守りたいひとを守ってあげてって········それは、君への言葉で合ってる?」
顔を見れない。
最近は少しだけ笑ってくれるようになった。出会った時からずっと、その眼差しはいつも優しかったが、表情は完全には読めなかった。
けれども、ずっと一緒にいたら、少しだけだが笑ってくれるようになった。声を上げて笑うことはなかったが、それでも嬉しかった。
誰かが笑ってくれるのは、嬉しい。
でも、今は··········。
「そうか······
そこには、想像していたような顔ではなく、穏やかな表情で見つめてくる
「ありがとう、伝えてくれて」
遠慮がちに、指先だけ頬に触れられる。
「私は平気だ。だから、もう、泣かないで欲しい」
何度拭っても零れてくる涙は、その言葉のせいでますます止まらなくなる。
「あんたは、本当に
「
「
「うん、そうだよ、
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