4-2 そのままでいて
妖退治の時も、遊んでいる時も、何気ない会話をする時も。いつだって
(けど、こいつは、いつだって······)
いつだって、馬鹿みたいに無邪気な笑みを浮かべて、傍にいた。義弟であり、友であり、好敵手。
そんな手の届くところにいたはずの存在だったのに、まさか数百年も眠っていた
しかし、前の
過程は話してはもらえなかったが、
(一体、どれだけの時間をひとつの想いだけで生きて来たんだ?)
そればかりは
「俺も、今まで通りでいいん、だよな? 傍にいても、いいんだよな?」
このまま、旅は続けてもいいのだろうか。一緒について行ってもいいのだろうか。
「当たり前だよ! 今まで通りっていったでしょっ!
俯いていたせいもあり、
「馬鹿! 苦しいっ······離れろっ」
「やだ! 離れないっ」
けれども本当にいつものように
(絶対に、守る。なにがあっても、俺が、)
「では、私は各宗主に知らせを飛ばす。
「お任せください。はぐらかすのは得意分野です」
飄々とした言い回しで、
「ほっとしたらお腹がすいちゃったよ!
朝餉を食べ損ねたことを思い出し、
「もうすぐ昼なんだから、我慢しろ」
「なんだよ、ケチ」
「······いい度胸だなっ」
「ありがと、
「うるさい。お前が望んだんだ、後で後悔しても俺は知らないからなっ」
そんな騒がしいふたりをただ見つめ、
その言葉は、
(
かつての愛しいひとの名。今はもういない、ひとの名。
(······君は、もういないんだな、)
それでも、傍にいる。守る。守りたい。そう、思えた。
君はいない。君の代わりにもしない。
あんな涙を、もう、流させないためにも。
もう一度、最初から、君と。
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