1-30 新たな始まり
――――その夜。
宗主に本邸に呼ばれ、
「
「··········はい?」
目が点になっている
「
「けど、
あの陣が、ただの陣ではなく、あの
「それは、我々が解決する問題であって、お前が案ずることではない」
「それに! 夜の妖者退治も、都の人たちの厄介ごとも、俺がいなくなったら······っ」
「それは、
ここに残るための理由をほとんど潰されて、
「それに、
「え? どういう意味です?」
「表向きは
そこで
しかもあの様子からして、
「出立は明日。
もうどうにでもなれと、
「父上、母上を頼みます」
「こちらの事は案ずるな。道中は危険だ。どんな時もふたりで協力して、しっかり学んできなさい」
顔を上げた
ずっと、憧れていた外の世界、知らない世界。こんな唐突にそれを知られる機会を得られるなど、思ってもみなかった。
書物の中でしか知らなかったこの国を、この眼で確かめられる。そう思うと、不安よりも好奇心の方が大きかった。
そしてなにより、
父との別れを惜しみながら、本邸を後にする。
自分の邸に戻ると、
ずっと、一緒にいて、離れることはないと思っていた。
ここから出ることも、離れることもなく、たまに
点心の店の青年に貰った、鮮やかな青い紫陽花の菓子を
明日が来るのが、こんなに寂しいだなんて、初めて思った――――。
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