3-28 青嵐
その武器は、柄の部分が槍のように長く、その先は大きな斧が付いていて、見た目だけでもかなりの重量感があるというのに、地面にめり込んでいた切っ先を、軽々と片手で持ち上げてしまった。
「妖者を操るだけが
「それは知らなかったな。けれども、正直どうでも良い」
「
ひらひらと大扇を揺らし、三人の後ろから現れた
「これはこれは、公子自らお出ましとは! 俺は今日はツイているようだ! お前の首を持って帰れば、俺の地位も上がるだろうよ!!」
「お前は
「噂通り、口だけは達者なようだっ!!」
再び斧を振り上げ、まったく動かない
斧と大扇がぶつかった瞬間、衝撃破のような風が巻き起こり、ふたりの纏う衣と
力任せに振り落とされたその斧は、先程の
どれだけの力がぶつかればそんなことになるのか、それ以前に、大男がいくらその切っ先を渾身の力で押しても、それ以上動かせないのだ。
大男の顔は黒衣に覆われて見えないが、その奥で冷や汗をかいている事だろう。
「
衝撃波で乱れた前髪を直しながら、
「それに
「そういう問題じゃないぞ!」
のんびりとそんなことを言う
「もう終わりかな?」
「ぐっ·····おのれっ······俺を愚弄する気かっ」
「愚弄? お前こそ、その程度の実力でよくも私に刃を向けたものだ」
先程までの人懐っこい穏やかな表情が一変、冷ややかな眼差しで見上げてくる。大男はひぃっと思わず情けない声を上げてしまった。
はあ、とあからさまに面倒くさそうに瞼を閉じて嘆息し、次にその青い瞳を開けた瞬間、大扇に少しだけ力を入れ、大男が持つ斧を弾き飛ばした。
弾き飛ばされた斧は、大男の手を離れ、そのまま地面に勢いよく突き刺さる。どん! という大きな揺れと地響きが、その重さを物語っている。
「もういい。お前では話にならない。時間の無駄だ。さっさと失せろ」
(こわっ····こわすぎる····!)
(むしろあれが素なのか? 本当に嫌いな相手には容赦ないって感じだな、)
しかも相手は彼が一番嫌いな分類に該当する存在。
案の定、大男はがくりと膝から崩れ落ち、地面に手をついた。
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