3-27 奮闘
「この謀は、間違いなく
「
あのふたりの心配など無用だろう。
(俺などいなくとも、あいつは、)
ふと、弱気な感情が芽生えて、ぶんぶんと首を振る。違う。そうじゃない。
『
そんなことを考えている内に、頭の中で
『ふふ。良い返事だね。解ったよ、陣の位置が』
「どこですかっ!?」
慌てないで、と
『
この辺りの妖者の気配は消えていた。絶えず上からは浄化の雨、森や平地には道を惑わす霧、地面には雪の陣が張り巡らされていて、隙が無い。この陣地には別の
三人は
『皮肉にも、渓谷の東側、その陣は必ずそこにある。ただ、気を付けて。陣があるということは、近くに奴らがいる可能性も高い。私もすぐに向かう』
太陽が頭を出す場所。渓谷の東側。
太陽が昇るまで、あと、
まるであの村の時のように、見えない敵と戦っているようだった。
****
森の中で足止めされている妖者たちの横をすり抜けて、三人はなんとか渓谷へと辿り着いた。
薄っすらと空に色が浮かび始めていたが、まだ太陽が姿を見せるまでには時間がかかりそうだ。
「あの赤い陣、
赤い光を帯びた広範囲の陣からは、どんどん
「
いつもは抑揚のない
渓谷の崖の少し岩が出ている部分に、三つの人影が見えた。黒い衣を頭から纏い、まるで来るのを待っていたかのように、その場に立ち尽くしていた。
「こちらから何かする必要はないでしょう。もし邪魔をするつもりなら、対応するまで」
「俺もそう思う。そもそも、今回のこの奇襲は、なにか違和感がある」
「都を狙うつもりなら、
妖鬼はともかく、
そんな短時間で
「あいつらの目的なんて今はどうでもいい!
「わかった」
「わかりました」
三人は同時に頷く。
ひとつ、ふたつ、みっつ、そして、最後の媒介の許に辿り着いた
「危ない!」
それは
「なんて馬鹿力っ」
「ひどいなぁ。これでも手を抜いてやってるっていうのに」
地面にめり込んでいるのは、斧の先。黒い衣を頭から被っている背の高い大木のような男は、その力に見合う体格との太い声で、三人を見下ろすように立っていた。
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