3-26 碧水の希望
では大勢の民はどこへ行ったのか。
霊山の麓、
霊山の神聖な霊気と、邪悪な存在を決して寄せ付けない結界。守るべきはこの地の民であり、そのために術士たちはいる。
「皆、混乱は承知の上で、今から話すことをしっかりと聞いて欲しい」
それは
民たちは誰一人として文句を言うことはなく、宗主の代わりに目の前に立つ
その声はどこまでも人を安心させるような不思議な魅力があり、同時に揺らぐことのない心強さも生まれる。
「数えきれないほどの妖者が、この都へ向かっている。このような事態になったのは、我々の不徳の致すところ。言い訳をする資格もない。皆に不安を与えてしまったこと、本当に申し訳なく思う」
「都も、皆も、我々がなんとしても守り切る。夜明けまで、東の渓谷に太陽が昇るまでのあと約
狙われているのはこの都だけで、他の地からの報告はない。つまり、敵は一族と都のみを標的としているのだ。
民たちは
そしてその言葉の通り、民はひとりとして犠牲になることはなかったのだ。
****
夜明けまであと約
妖者は
こちらも
その符は不思議なことに、頭に直接
『怪我を負ったものは無理をせず、結界の内側へ退くこと。我々の最終目的は、妖者の群れをすべて滅することではなく、夜が明けるまで時間を稼ぐこと。それまでは私の指示の下、誰一人として欠けることなく、この地を守り切る』
「
「謝られるようなことは何もない、ぞっ」
細身の霊剣、
「ありがとうございます、」
霊剣、
「
ふたりの援護に回っていた
ふたりは
「雨?」
目の前に展開された『
浄化の雨はそこに存在する妖者たちを濡らし、逃げ場のない無数の雨の雫に、次々と悲鳴が上がる。
それは遠くまで響き渡り、
「今度は霧?
雪華の陣が雨と霧の効果なのか、先程よりも威力を増し、雨と霧を浴びた妖者たちの身体をみるみる凍らせていく。
そして辺りは浄化の霧に覆われ始め、雨、霧、雪が交じり合って、この漆黒の闇を照らすように、青白い光を帯びていた。
しかも霧が目眩ましとなって、
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