3-5 お世話させてください
陽が落ち、夜の気配が訪れた頃。
他の分家の者たちはおらず、あくまで
お互いの挨拶もそこそこに、賑やかな雰囲気の中、用意された膳にひと口手を付けたその時、その場にいた
「あれ? みんなどうしたのかな?」
皆が箸を手に持ったまま、固まっているのだ。しん、と静まる中、
それとは逆に
「も、もしかして······お口に合わなかったんでしょうか?」
「え? おいしいよ······って、
通りでなんだか懐かしい味がすると思った、と
「お前······手伝いじゃなくて本格的に味付けしたら、もはや
「ちゃんと
三人ともこそこそと声を潜めて会話をしているが、集まれば賑やかしくもなる。しかし、その静寂を破って一斉にその場が歓喜の声に包まれる。
「なんて美味しいの!
夫人が明るい声で幸せそうな顔で頬に手を添えていた。宗主の夫人である
美しさと可愛らしさを併せ持ち、性格も朗らかで人当たりも良く、
「もてなすつもりが、こちらがもてなされてしまったようだ」
「すみません。私たちが至らないばかりに、
「そうなの? それは素晴らしいわ。もしよろしければ、ここにいる間、時々で構わないので弟子たちに教えていただけると嬉しいわ」
「え、あ、はい。お仕事をいただけるのはありがたいです」
「
「もう慣れているからなんとも思わないけれど、よく厨房の食材だけでこんなに何種類も料理が作れたものだわ」
「そうなの? すごいね、
「ああ······それは
「それは毎回残った食材で作ってくれてたからでしょ。母上が言ってた。
「······それって、原因はもしかしなくても、」
「······はい、もしかしなくても、
「俺、
この数日共に過ごしてみて、解ったことがある。
「いえ、こちらこそ、今後も
あの邸での
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