1-3 金虎の第四公子
宗主が去った後、先ほどまで穏やかに音を奏でていた縁側の琴をしまい、
二人の間の文机も山のように積み上げられた書物で埋もれており、かろうじてそれぞれの顔が見える状態だ。
艶やかな長い黒髪を飾る赤い花の髪飾りがとてもよく映え、薄化粧だが十分整った美しい容貌の
一方、同じ黒髪だが少し先の方に癖のある髪を頭のてっぺんで無造作に括り、赤い紐で結っている
「母上、
手を頭の後ろで組み、足を崩して
上背も
「あなたに
そもそも自分たちはそういうものに興味がなく、ただ平穏無事に日々を過ごせれば、他にはなにも要らないと思っている。それを宗主も解っているので、生まれてすぐに無明に仮面を付けさせ、この離れに住まわせているのだ。
邸に住む他の公子、親戚、従者や術士、門下生に至るまで、
「なんでだろう? 身に覚えがありすぎてわかんないや。へへ。俺、ちゃんと周知の
「その
(うわぁ····やっぱりバレてた)
ある森の入口近くに祀られている古い祠に、どんな些細な
その噂を聞きつけた民たちが、怪しさより神頼みという気持ちで文を置いていき、その数日後には見事に解決されたらしい。
ある日、同じように文を置きに行こうと森の中を急ぎ進んでいた民が、たまたま運悪く
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