5-19 救出
まるで誰かが来るのを解っていて、開かれていたその門の先に広がる光景に、
邸が燃えていた。まだ大きな炎は出ていないが、煙が所々に立ち込めていた。
桶に入った水を頭からかぶって、もう一度井戸に投げ入れる。そして同じように汲み上げて、
「今の状態なら、まだなんとかなる!」
うん、と頷き、
そこには何かを決意したような眼差しがあり、
「まずは宗主を捜そう! 運が良ければ、妹君も一緒にいるかも!」
「ああ、行こう! たぶん、予想が正しければ地下牢だろう」
その前に、と
途端、地面から地響きが鳴り、足元がぐらついた。
「
地響きの正体は、井戸の中の水が上に上がって来る音だった。それは
「この水で火を消し止める」
それはまるで土砂降りのように大きな雨粒となり、地面に向かって降り注ぐ。
集中豪雨のように落ちて来た水は、すでに水浸しになっていた
(すごいな····これが、
思わず感心していたが、そこに
「行こう! 火はこれでなんとかなった。後は母上たちを救い出すだけだ」
「ああ、君もどうやら冷静になれたみたいだ。今なら大丈夫そうだな」
地下牢は邸の奥にある階段の下だ。
その途中に邸を警護していた術士たちが倒れており、見つける度に生死の確認をする。皆、なんとか息はあるようだったので、そのまま先へと進む。
無残に焼け焦げた柱と、火が消されたことによって立ち込める煙、そしてそのきな臭い香りが辺りに残っている。
(けど、なんであのひとはここまでするんだ?)
そもそもの原因はなんなのか。
どこを捜しても見つからず、一度戻ろうということになり邸に戻ったら、彼女はすでに戻って来ていたのだと。しかし、彼女は
もし
あの四天のひとり、
地下牢の扉を開く。薄暗い中、手探りで壁をつたい、ふたりは唯一灯のある場所を見つける。結界牢に阻まれた先に、ふたつの影があった。
「····
「
宗主である
「待つんだ。結界牢には触れない方がいい。俺が消すから、少し待ってくれ」
(
あの様子だと、自力でなんとかできる状況ではないだろう。傀儡のように瞳に光はなかった。きっと、意識もないまま操られている可能性が高い。
宝具の効果であることは聞いたが、
一瞬にして結界牢の壁は消え、
そして、
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