2-21 竜虎、新たなる決意
あの
まるで何十年も前に廃村となってしまったかのように朽ち果てた辺りの景色を、
朝まではもう少し時間があるが、眠る気にもなれない。
「
「
辺りがようやく静かになり、遠くで見えた光の柱を辿って
あの恐ろしい黒い
「
「俺は逃げてただけだけどな」
ははっと無理に笑う
「いいえ、いいえ! あんな妖獣に向かっていくなんて、私には考えられませんっ! しかも誰かのために自分を囮にするなんて、絶対に無理です。自分の家族ならともかく、たかが従者の私などのためにそんなことをするなんて、」
「
「それもそうですね、」
あははっとふたりは顔を合わせて笑う。
普通の人間が普通に考え思うことを
朝陽が昇る頃、一行は遺体の半分ほどを土を盛り上げるだけの簡易的な墓を作って埋めた。
薄墨色の空の隙間に射し込んだ眩しい光に瞼が焼けるようだったが、ようやく明け始めた夜の深い闇に安堵する。まるで悪夢のような夜だった。
しかし、朝は来た。
まだ、何も始まっていないし、終わってもいない。すべてはこれからだ。
だから、絶対に。
「待ってろよ、絶対見つけてやるからな」
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