5-16 梟
「お前の主はどこにいる?」
とにかく、何か聞き出せることはないかと言葉を紡ぐ。これが本当に
今のところそれを裏付けるものがない。守り刀の光で、いとも簡単に弾き飛ばされた事実がある。本当に特級の鬼なら、そんなものは効かないだろう。
「なんのために都に疫病を齎した?」
「なんのためぇ? そんなのきまってんだろうぉが!」
はっと
「こうやってぇ、操るためさぁ」
(こんな広範囲の陣……一体、なにをするつもりなんだ)
操ると
「俺の本当の能力は、疫病を撒き散らす
「俺の通り名は
先程までのやせ細ったぼろぼろの衣を纏う
分けられた前髪は頬にかかるくらい長いが短い黒髪で、瞳は漆黒。すらりとした細身だが、背が高く、
「
「ああ、
しかし、
その中に、
だがここで疑問が生じる。なぜ、彼がここにいるのか、と。わざわざ
「面白い顔をしている場合じゃないかもよ、少年」
「言っておくが、この陣は俺が発動したものじゃないぜ? そういうのが得意な奴らを知ってるだろう? 俺はただ遊びに付き合ってやってるだけさ」
右手を腰に当てて、肩を竦める。その背後からゆらゆらと蠢く者が集まって来ていた。身体中に青紫色の斑点のあるその者たちは、この都の民たちに他ならなかった。妖者ならまだしも、民が相手となれば話は違ってくる。
「悪趣味な……疫病は病ではなく、呪いの一種ということか?」
「ちょっと待て! じゃあ
そんなことができるのか? そもそも、この目の前の鬼は操られているというよりは、自らの意思でここにいるように見える。この事態を面白がっているというのが正解だろう。
「……そうか、あの宿に集まっていた者たちは、」
「そう、この国のあらゆる場所に存在する、
「お初にお目にかかります。私は
丁寧にお辞儀をし、後ろに迫りくる大勢の民たちを背に、赤紫色に彩られた口元を緩める。頭から被っている漆黒の衣のせいで、表情はまったく見えない。しかし、その男は今までの四天の者たちとは違い、名を告げた。
「冬の天、名を
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