6-13 兄弟
「やあ、
「······兄上? これは、なんですか、」
「これはだねぇ、私と
「兄上、もしかして
「なんのことかな?」
「いえ······忘れてください」
「うん、その、伝えるべきかどうか迷う所なんだが、知っておいた方が良いだろうから伝えるよ」
急に真剣な顔になって、
「君の、
「どいういう、ことですか?」
握りしめる鏡に力が入る。何を言っているのか。誰の事を言っているのか。
「
誰か、ははっきりとは言わなかったが、話を聞いて
「憶測でしかないが、宝具である夢幻香が、なんらかの作用で
「夢を共有する術があるのを思い出して、それを教えた。難しい術だが、そんなことは
「彼は、
俯いたまま、
「君の幸せを、ただ祈るばかり、と」
また、そうやって。ひとのことばかり。
「兄上、」
なんだい? と
「必ず、
鏡越しに頭を下げて、
「なにを水くさい。私は君の兄なんだから、当然だろう?」
言って、
****
その
「こんな時にあれなんだが、実は奉納祭で
「伯父上が!?」
「ああ、
つまり、
通り名である
「
そんなことを思い出しながら、
「なんだ、
「はい、
粥を中心にした薬膳料理だったので、とりあえずあたため直せば良いと思い、
「そうか。それなら無理にでも食べてもらわないと困るな」
つまりは、昼も夜も食べていないということになる。
「え? どうしたんです?」
「どどどど、どうも、してない! と、とにかく、一旦、戻るぞっ」
「ええっ!? 駄目ですよ! せめて食事を届けさせてください!」
いや、それは別に後でいいだろう! と小声で怒鳴ってくる
(あんな姿、他の誰かに見せられるかっ!!)
狭い寝台の上でふたり、それぞれ手首を赤い紐で繋ぎ、寄り添って眠っている姿を見てしまった
「もう、なんなんですか!? 解りましたから! は・な・し・て・く・だ・さ・いっ」
(この、······恥知らず!!)
そう思いながらも、花窓から射し込んだ陽だまりの中、幸せそうに眠っているふたりのその姿を見て、美しいと思ってしまった自分自身に動揺するのだった。
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