第106話 体育祭①

休んで疲れが取れた・・・というよりむしろ疲れてしまった日曜日。

#何事も張り切り過ぎは良くないね。


そして今日月曜日は、体育祭だ。

この学校では、5月に球技メインのスポーツ大会が行われているが、11月にも陸上メインの体育祭が行われている。川野辺高校は進学校とされているけど、文武両道を目指す校長の方針でスポーツにも力を入れているんだ。

さて、そんな体育祭は、学年横断のクラス対抗戦で勝敗を競い合うそうだ。

競技は、100m走、400mリレー、幅跳び、持久走などといった陸上系の競技と体育祭らしく借り物競争や二人三脚走などお遊び系の競技も行われる。

最もスポーツ大会と異なり個人競技がほとんどの為、体育の授業以外は練習もなく、ホームルームで出場種目だけ決めた後はほぼぶっつけ本番で行われている。


「楓はリレーだっけ?」

「うん。綾ちゃんと後は柚木と川原ちゃんね」

「何だか早そうだな」

「みんな川野中のバスケ部仲間だかしね。連携もばっちりだよ」


そういえば川原さんも元はバスケ部だって言ってたもんな。

背も高いしバレーボールも良いけどバスケも上手そうだよな。


「ケンちゃんは100mでしょ?」

「そ。100m。後は何故か借り物競争にも出ることになってたんだよな」

「か 借り物競争ね・・・・」

「ん?どうかしたのか」

「え?・・・・な なんでもないよ ケンちゃん足早いしきっと余裕だよ!」


何だ?さっきの間は借り物競争って何かあるのか?


ということで、借り物競争の事が気にはなりつつも体育祭が開幕した。


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「ケンちゃん頑張って!!」

「おぅ任せとけ!」


まずは俺が出場する100m走からだ。

楓をはじめクラスメイトが見守る中、俺は100mを走るトラックに向かった。

と俺の隣に茶髪なヤンキーがあらわれ絡んできた。


「田辺! 悪いがこの勝負は俺達C組が勝つ!」

「・・・誰だっけ?」

「おーーぃ!俺だよ俺、梶竜太郎様だ!」

「じょ 冗談だよ この間サッカーの試合応援に行ってやっただろ」

「おぅあの時はありがとな。おかげで勝てたし」


見た目は相変わらずだけど、こいつ根は真面目なんだよな・・・

でも確かにサッカーの試合の時も足は速かったし要注意だな。


「まぁそれはそれとして俺達も負けないからな」

「ふ!望むところだ!」


相変わらず熱いというか芝居がかった奴だ。


「ほら そこの二人早くスタートラインに着いて!」

「あ、はいすみません」


梶と遊んでたら叱られてしまったじゃないか・・

慌てて俺と梶もスタートラインに並びクラウチングスタートの姿勢を取った。

そして、審判を行う木本先生のピストルの音で一斉に俺達は走り出した。


スタートは梶が一歩リード。が、俺も梶との差を少しずつ詰めゴール間際で何とか抜き去り1位を獲得した。危なっかしかったが何とか1位だ。

・・・梶がメチャ悔しがってるんだけど。


ちなみに2年女子の100mは村田さんが出場したんだけど惜しくもこちらは2位。

同じバスケ部のD組吉見 恵が1位をゲットしていた。足早いな吉見って。

そしてA組は1年女子が富田さん、3年女子が恩田先輩がぶっちぎりで1位を獲得し高得点を上げていた。やっぱり凄いな恩田先輩は。


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「楓!それにみんな頑張って来いよ!」

「うん。ケンちゃん1位取ってくるよ!」

「クラス違うけど頑張れよ!綾子」

「うん。でも太一はクラス対抗なんだから渋川さん達を応援してあげなきゃ」


そうだぞ福島。村田さんを応援したい気持ちはわかるけどクラス違うんだからw


「ねぇ柚木。うちのクラスの女子って彼氏持ち多くない?」

「え~と・・・・そうだね」

「ん?もしかしてあんたも彼氏いるの?聞いてないよ?」

「・・・B組の高田君にこの間告白されて」

「くぅ~何でバスケ部はリア充多いのよ!私もバレーじゃなくてバスケにすればよかった!!」


いやいや川原さんや。

バスケ部だから彼氏彼女持ちが多いってわけじゃないぞ。

多分だけど。


と川原さんがいじけてしまった女子チームではあったけど、いざ競技になると真剣になり1位を獲得した。

ちなみに2位は渋川さんと大崎さんを擁するB組でした。

渋川さんって走るイメージ無かったけど意外と早かった。

そういえばテニス部でも結構成績良いとかいってたもんな。


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トラック競技が進められる中、ちょっと小休止ということで午前中最後の競技として男女混合の二人三脚競争がマッタリと行われた。

これはその言葉の通り男女のペアで二人三脚による競争を行うというもの。

それ程スピードも出せないのでどちらかというとペアの息の合った動きで勝負が決まる感じらしい。


うちのクラスからは裕也と浜野さんがペアを組んで出場する。

浜野さんは足の怪我があるから全力疾走とかは出来ないけど、これくらいならということでの出場だ。ま、裕也との息はぴったり見たいだしな。


「美玖、足が痛くなったらすぐに言うんだぞ。

 勝負より美玖の方が大事だからな」

「うん。ありがとう裕也♡」


他のペアも何だかカップル率多いし・・・何だこのレースは。いいのかコレで?

などと思っている中、いつの間にやら競技がスタートした。

予想通りというか、無理に走ってタイミングが合わず転ぶ選手が多い中、息の合った動きで先頭を走る裕也と浜野さん。


結局、二人は追いつかれることなくゴールし1位を獲得した。

まぁ他のカップルに比べると二人ともバスケ部で基礎体力は高いからな。


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ここまでで、午前の競技は終了。

一旦教室に戻り昼休憩となった。


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