第9話 またもや変な奴が
翌日。約束通り俺は楓の家に向かっていた。
早めに出たので、ゆっくり歩いても余裕な時間だ。
歩きながら ふと昨日の夕飯を思い出した。
五月おばさんの料理は凄く美味しく懐かしい味がした。
うちの親は仕事で夜も遅い事が多かったから、楓の家で夕飯を食べることも多く昨日食べた唐揚げも俺の大好物だったんだよね。
あんまり甘えるのも良くないけど、また食べたいな。
と唐揚げの事を考えながら徒歩3分で楓の家に到着した。本当ご近所です。
インターホンを鳴らししばし待っていると、
「お待たせ〜♪」
と楓が出てきた。
今日は何やら大きなバッグも持っている。
「行こ!ケンちゃん」
「あぁ 今日は荷物多いな。部活用?」
「うん。ケンちゃんも来るんでしょバスケ部」
「そうだな。一応バッシュは持ってきたよ」
と鞄の中を見せる
「わー結構いいの使ってるんだね」
「何足か持ってるけど、これが一番馴染むっていうか動きやすくて気に入ってるんだ」
「あるよね。そういうの」
偶然だったけど、バスケという共通の話題があるのは中々いいもんだ。
楓とは7年という空白期間があるから昔話も小学生の頃の話でネタも限られちゃうからな。日本の最近の流行とかも正直疎いし。。。
「そういえば、ケンちゃんって背高いけどポジションは何処だったの?」
「俺?色々やったけど、スモールフォワードが多かったかな」
「そうなんだ同じだね。 私もスモールフォワードだよ」
「へぇ。そうなんだ。楓はレギュラーなの?」
「うん。3年生が次の大会で引退するんで2年生主体のチームにシフトしてるからね。まぁ新入部員で上手い人が来たらわからないけど」
「そっか1年生も入るんだよな」
などと部活の話しを聞きながら歩いているとあっという間に学校に到着。
学校が近いのは楽で良いですな。
何気に今日も手は繋いでいたけど、昨日に比べると楓も少し落ち着いた感じで、
俺と絡んでくれている。
まぁ昨日は色々あったし普段よりテンション高めだったのかもね。
ちなみに楓と手を繋いで並んで歩く俺に対して、刺すような視線は相変わらずだが、教室では昨日"付き合ってます"と宣言した為か特に注目を浴びることなく生暖かい視線のみで過ごせていた。
そして今日から始まった授業は、前の学校でもそれなりの成績はおさめていたので特に問題無く理解できた。
そういえば村田さん曰く楓の成績は学年でも上位クラスらしい。
楓に勝つために俺も結構勉強頑張ってたんだけど怪しくなってきたな。。。
そして昼休み。
「ケンちゃんお昼食べよ」
「いいけど、村田さんとかと食べてるんじゃないのか?」
「そうだったんだけど"ケンちゃんと食べなよ"って彼氏のとこ行っちゃった」
「そうなんだ。じゃ丁度良かったかな。はい。楓」
と弁当の入った包みを渡す
「ん?ってもしかして本当にお弁当作ってきてくれたの?」
「そ。昨日話ししてただろ。味は保証しないけどな」
弁当を受け取り蓋をあける楓
今日は鮭ときんぴらごぼうに卵焼きとほうれん草のお浸しをおかずとした和風弁当。THEお弁当!という感じだ。
「す 凄くおいしそう! ケンちゃん女子力高すぎだよ!!
もう私がお婿さんにもらってあげる!」
「はは ありがとな」(ちょっと照れますよ)
何だか周りが一瞬ざわついたが気にしない気にしない・・・・
と楓からの好感度がさらに上がったところで、雑談をしながら昼食を食べていると、教室後ろの引き戸が開き一昔前のツッパリ風の男が入ってきた。
そして
「おい小早川! 古川に聞いたぞ。彼氏が居るんだってな。
お前俺を振った時、いつか帰ってくる大好きだった人を待ってるって言ってたじゃないか。これはどういうことだ!」
こいつが楓に振られたっていう古川たちのボスか?
「うん。間違ったこと言ってないよ。
帰ってきたんだよ。しかも、告白までしてくれてまさかの両想い♡
今ね、凄く幸せなんだ~」
「・・・・あ、帰ってきたのね。
そっか、それでその弁当一緒に食ってるやつが、その彼氏か?」
「そうだよ」
「そうか。おいお前。俺と小早川を掛けて勝負しろ!」
「・・・・嫌だ。楓はモノじゃないんだぞ、賭け事の商品みたいに扱うつもりはない」
「ふ ふざけるな。ここは男らしく勝負を受けるのが筋ってもんだろ」
「知るか! 喧嘩したいなら買ってやってもいいが、楓の事は抜きだ」
大事な昼休みを潰されて何だかイラついてきたので、ちょっと凄んでみた。
「ふ ふん。雑魚が強がりやがって。今日のところは見逃してやる」
と大声で言い放ち教室を出て行った。
「なぁ楓、ここって進学校って聞いてたんだけど、あいつも頭いいのか?」
「う~ん 梶君って言うんだけどあれで成績は結構良いんだよね。中学同じだった友達に聞いたけど生徒会とかにも入ってたらしいし。。。」
「何だか見た目とのギャップが激しいな」
「何というか、昨日の古川君含め不良に憧れているというか、根は真面目なんだけど、ちょっと残念な感じの人達で」
「何というか面倒そうなやつらだな。。。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます