第8話 お宅訪問
学校の校門を楓と一緒に出た。
「ケーーンちゃん♡」
と登校時同様に俺の右手に抱き着くように腕を組んでくる楓。
何というか7年分の想いが詰まっているのか久しぶりに再会し美少女となった幼馴染の愛情表現は中々破壊力がある。
村田さんが言っていたように何というか楓は学校でも人気が高いらしい。
そんな楓が男と腕組んで歩いていれば学内でも当然注目は浴びる。
編入&新学期早々敵を作りまくっている気がするのは俺だけだろか・・・
周りを歩く男共の刺すような視線が痛い。
まぁ楓はご機嫌なようだし俺が気にしなければ済むことだけどな。
と思ってたら楓が少し真剣な表情をして話しかけてきた。
「ねぇケンちゃん。
ケンちゃんは今みたいな私よりもクールな感じの女の子の方が好き?」
「ん~。クールなのもいいけど、今の楓は可愛くて好きだぞ」
「しょ しょんなストレートに言われると照れるよ、、、」
と顔を赤らめる楓。毎度のことながら打たれ弱いな。
「どうかしたのか?」
「うん。さっき綾ちゃんと話してたでしょ。今日の私がいつもと違うって、普段はもっと静かな感じなんだよ。雰囲気違ってるのは自分でもわかってるんだ。
正直、ずっと会いたいと思ってたケンちゃんと突然再会して何だか自分でもよくわからない感じでさ」
「う~ん。俺としたらそこまで思ってくれてたのは凄くうれしいよ。それに昨日までの楓の事を俺は知らないからね。逆に楓も俺の事わからないと思う。付き合ってくれ!とは言ったけど、焦らず、これからお互いの事を知り合っていければと思ってたりするんだけど、どうかな?」
「うん。そうだね。焦っちゃだめだよね」
「そ。焦らずにね」
「・・・・やっぱりケンちゃんカッコいい♡」
何だか楓の中で俺の好感度凄く上がってるみたいだけど、そんな良いこと言ったか俺?と少しまじめな話をして歩いていると楓の家に到着した。
昔住んでいた家は、瓦屋根の日本家屋だったけど、この家は建売っぽい洋風建築の家だ。学校から歩いて10分弱くらいかな。
何気に俺の住んでるアパートとも近いねここ。
門扉をくぐりカギを開けて家に入る楓。
「ケンちゃんも寄ってきなよ。お母さんと紅葉も居ると思うし」
「あ、そうだな五月おばさんにも挨拶しなきゃな。紅葉ちゃんは中学2年位だっけ?」
「紅葉は中学3年だよ。今年受験だから勉強頑張ってる。私と同じ高校に行きたいんだって」
「相変わらず姉妹仲いいね」
などと話しながらリビングへ通される。
ソファではおばさんと紅葉がテレビを見ながらくつろいでいた。
「ただいま~」
「あ、お帰りお姉ちゃん・・・・ってお姉ちゃんが男連れて帰ってきた!!!」
と紅葉。
「だ 誰なのその人は、楓ちゃんの彼氏なのかな?ちゃんとお母さんに紹介して欲しいかな」
と五月おばさん。
何だか相変わらずな感じだな。何だか懐かしい。
「ご無沙汰してます。昔近所に住んでた田辺 健吾です。
両親はまだアメリカですが、こっちの大学受けたいので先に帰ってきました」
「え?健吾君って、田辺さんのとこの息子のケンちゃん?」
「はい。ご無沙汰してます」
「あらやだ!凄い男前になっちゃって!紅葉も覚えてるでしょ?ケン兄ちゃんよ」
「うん、もちろん覚えてるよ。お姉ちゃんが大好きだったケン兄ちゃんだよね」
「も 紅葉!あ あんた何言ってるのよ」
「はは お姉ちゃん照れてるぅ」
「それはそうと、ご両親は元気にしてる?」
「はい、元気すぎるくらい元気で毎日遅くまで仕事してますよ」
「いいことじゃない。でもご両親がまだアメリカだとすると健吾君は一人暮らしなの?」
「はい。この近所ですけど、アパート借りてます。昨日帰国したばかりなので、まだ片付け中ですけど・・・」
「そうなのね。料理とかも自分で?」
「はい。家事全般は結構得意なので、そのあたりは全然平気です」
「あ あらそうなの。料理はまぁあれだけど、片付けとか手伝いに行かせようかと思ったんだけどいらないかしら?」
「お お母さん何を勝手に」
「あ、手伝いに来てくれるなら助かるな」
「え! うん全然手伝いに行くよ私でよければ」
「ふふ お姉ちゃん凄くうれしそう」
「あ、そうだおばさん。俺、楓さんと付き合うことになりましたので一応ご報告です」
「ふ~んそうなの・・・え!本当楓と?」
「はい。さっき告白して」
「楓!今日は赤飯ね! 気合入れて夕飯作るからね。健吾君ももちろん食べていくわよね」
「は はい。ご馳走になります」
「お お母さん何だか恥ずかしいんだけど・・・」
その後、本当に赤飯が炊かれ、サラダ、唐揚げ等など豪華な夕飯を頂いた。
本当美味しい。それとこういった家族団らんも久しぶりだ。
ただ1点だけ気になったのは、五月おばさんから"五月お義母さんと呼んでも良いのよ"と言われた事。もう俺って義理の息子認定なの?
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