第7話 意外といいやつなのか?

少し落ち着きを取り戻した楓を先頭にして、俺たちは最後の訪問先である体育館に向かっていた。


「で、ここが最後。体育館ね。裏手に運動部の部室があるの」

「凄いきれいだな。それに高校の体育館にしては設備も充実してる」


高校の体育館とは思えないほど広く、バスケコートも余裕で2面とれる。

両サイドには試合を見れる観客席まで付いている豪華さだ。


「うん。ここは去年新設されたばかりで、学校自慢の施設なんだよね。

 今日は休みだけど、明日から部活の練習始まるし放課後一緒に行こ!」

「あぁよろしくな」


と見学を終え教室に戻ろうとしていると中央棟との連絡通路にどこかで見たような金髪君が一人。

まぁ興味もないので、そのまま通り過ぎようとしたら


「おぃ シカトかよ! って俺の顔見て何もないんか!」

「ん? あぁ今朝俺に瞬殺された不良Aさんか」

「今朝は世話になったなぁ ってなんだよ その呼び方!馬鹿にしてるのか!」


1人ツッコミしてるし結構面白い奴だな。


「いや? 名前とか知らないし、ついでに興味もないし」

「俺は2年C組の古川だ!それから少しは興味を持て!」


ノリも結構良いし。


「はいはい」

「あ~まぁそれはどうでもいい! お前小早川と付き合ってるのか」

「あんたには関係ない話しだが楓は俺と付き合ってる。何か文句あるのか?」

「うっ そ そうなのか。別に文句はないが、、、、」


文句ないんだ・・・


「何なんだよ」

「うちのボスが小早川に何度も告白してるんだが良い返事がもらえなくて、凄く落ち込んでんだわ。だから何とか俺たちでボスのいいところアピールして小早川を説得しようとか思ってたんだが既に彼氏が居たのか。。。

 そりゃフラれるわな。。。あっ小早川。今朝は手荒な真似して悪かったな」

「・・・もしかして不良Aじゃなくて古川達って、いい人なのか?」

「な 何を!不良やってる俺達がいい人なわけないだろ!授業とかも平気でサボっちゃうし喧嘩もするんだぜ!」


不良の基準がわからんな・・・


「はぁそうですか。。。」

「とにかくだ。ボスには小早川には彼氏がいるみたいだから諦めろって言っとく。 お前も小早川の恋人ならしっかりその女守るんだぞ」

「いや、乱暴しようとしてたあんたには言われたくないが。。。」

「う うるせぇ もう帰る!」


と何だかよくわからんが逆切れした古川は足早に帰っていった。

でもボスに彼氏いるから諦めろって言うとか何なんだあいつは・・・


「村田さんと楓は、あいつらの事知ってるのか?」

「う~ん知ってるというほどの付き合いはないんだけど。古川君が言ってた通りで、あいつらのボスが去年楓に告白してきたんだよね。楓は断ったんだけど結構その後もしつこいみたいで。」

「うん。でも今朝みたいなのは初めてだったからちょっと怖かったかな」


「あ!そうだ、田辺君 楓と一緒に通学してあげなよ。楓には恋人居るよってアピールにもなるしボディーガードも出来るし」

「えっ 綾ちゃんそんなのケンちゃんに迷惑掛かるよ。。。」

「全然大丈夫だぞ。楓を危険な目に合わせたくないしな」

「・・・でも」

「何言ってんのうれしいくせに! ここは素直にお願いしますでしょ!」

「お お願いします。。」


俯き加減に小声でお願いしてくる楓。

こんな風に言われちゃったら何でもしてあげちゃうよ俺はw


「そういえば 楓の家って昔住んでたところと同じ?朝、迎えに行くよ」

「え、ありがとう。あの辺り再開発が進んじゃって、近くだけど引っ越ししたんだ。」

「そうなんだ。じゃぁさこの後送ってくから家の場所教えてよ。」

「うん お願い」


ということで学校見学も終わった。

村田さんは、彼氏と帰るからとすぐに教室を出て行ってしまった。

何でも隣のクラスに居る男子バスケ部の子と付き合ってるらしい。


俺と楓も教室を後にした。

さて、この後は楓の家だ。

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