第6話 学校案内

教室を出た俺は楓と村田さんに連れられて、校舎の中を歩いていた。


「えーとね。校舎は大きく3棟に分かれてて、今いる中央棟が教室や食堂が入ってる建物。1階に職員室と学食と売店、2Fが3年、3Fが2年、4Fが1年の教室があるの。とりあえずは食堂に向かうね」


階段を下りる楓の後についていく。

楓の手は自然と俺の手を握っている。所謂恋人つなぎで。。。

学校の中でとか結構恥ずかしいぞ。村田さんもニヤニヤしながら見てるし。

本当、楓って積極的だよな。


「それにしても、今の楓は普通に可愛いけど俺の中にある子供の頃のイメージだとクールというか、もっと冷めた感じのイメージだったんだよね」

「サラッと楓のこと可愛いとか言ってるし♪

 でもそれ正しいよ。私も今日の楓は、見ていて正直驚いてるんだよね。田辺君に会ってから凄く表情が豊かになったというか・・・

 何というか惚れちゃいそうなくらい可愛い!楓~~ 可愛い~よ~」


と楓に抱き着く村田さん。

『う~ん美少女二人がじゃれ合ってる眼福♪眼福♪』


「うぅ〜 いいでしょ! やっとケンちゃんに会えたんだから甘えさせて!

 綾も美玖も彼氏といつもイチャイチャしてさ、私も居るのにエッチな話とかもして。私だってそういうことしたかったし羨ましかったんだからね!」

「そ そうだったの? ごめん。あんまり話に参加してこなかったから興味ないのかと・・・」

「しょ しょんなわけないじゃん・・・って謝らなくてもいいし。。」


と小さい声で言いながら顔を真っ赤にして俯いてしまう楓。

何か知らんが、可愛いじゃないか。

と話しながら歩いているうちに1階に到着。


「はい。ここが学食。今日はやってないけど、入り口で食券買って食べる感じ。

 結構、定食とか安くておいしいよ♪

 で、隣は購買ね。文具や教科書、お菓子やパンはここで買えるよ」

「そうなんだ。弁当持ってこようかと思ってたけど、学食かパンでもいいかもな」

「ん?ケンちゃん一人暮らしだよね。もしかしてお弁当自分で作ったり出来るの?」

「あぁ うち両親忙しいかったから、結構自炊とかしてたぜ」

「そ そうなんだ。料理できるんだ・・・・」

「ん?どうかしたのか?」


急に楓が暗い雰囲気で俯いてしまった。


「か 楓!むしろラッキーじゃない。彼氏が料理上手なら楓が料理作らなくてもいいし」

「そ そういうわけにはいかないよ。いつかお弁当とか作ってあげたいし・・・」

「ん?もしかして楓は料理が苦手なのか?」

「え~と 苦手というか・・・壊滅的というか・・・」

「別に気にしなくてもいいよ。俺は料理作るの好きだし何だった俺が楓の弁当作ってあげるぞ」

「い いやそれは流石に。。。」

「というかむしろ食べて感想が欲しいかな。それに小さい頃、楓には何やっても勝てなかったんだ。料理位勝たせてくれよ」

「う~ じゃぁ今度お願いします。」

「任されました!」

「・・・あ~暑い。まだ春先なのにねぇ~」


と村田さんにからかわれつつ学食と購買を後にして東側の建物に移動した。


「こっちの棟は音楽室や実験室とかの特殊教室と文科系の部活の部室があるの

 今日は部屋には入れないけど、理科や音楽はこっちの建物で授業受けることも多いから場所は覚えておいてね」

「わかった。そういえば部活って必須なの?2人はバスケ部なんだよね?」

「必須ってわけじゃないよ。それに兼部とかも出来るし結構自由かな」

「ふ~ん。バスケ部は練習とか雰囲気見て入るか決めようかと思ってたんだけど無理に入らなくても大丈夫なんだね」

「え?入らないかもしれないの? 清水君とかもいるし折角だから入部しなよ」

「あぁ そうだな?」

『何でそんな必死なんだ?』

と考えようとしたら村田さんがあっさり答えをくれた。


「もう~ 素直に"バスケ部に入れば帰り一緒に帰れるね"とか言っちゃいなさいよ!」

「う~ そのとおりだけど、メチャクチャ恥ずかしいじゃん・・・」

と小声でうなりながら話す楓。また顔も赤くなる。

『やばい。。。可愛すぎて俺も辛い』


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る