第5話 クラスにて

「じゃぁ再開するぞ。残りは風紀委員と学級委員だけど、田辺、小早川お前ら2人で学級委員やらないか?」

「え?俺 編入したばかりですけど・・・」

「まぁそうなんだけど、顔と名前覚えるのにちょうど良さそうだしな。それに小早川は1年の時も学級委員だったしフォロー出来るだろ?小早川はどうだ?」

「え?は はい 風紀委員よりは学級委員の方がいいです」

「じゃ決まりだな。田辺、小早川頼むぞ」

「はぁじゃよろしくお願いします。フォロー頼むな楓」

「うん」


と満面の笑みで返事をする楓。

そして何となくざわつく教室。

『ん?どうした』


「た・な・べ君 あらためて久しぶり。村田 綾子だよ 7年ぶりだね。またよろしく!」


と楓の前の席に座る村田さんが小声で声を掛けてきた。


「綾ち・・じゃなくて村田さん さっきはありがとな。こちらこそよろしく」

「はは 昔みたいに綾ちゃんでもイイよ♪

 ところでさ、私から嗾けといて何だけど、楓の事追いかけてって、そのまま告白とかしちゃった?さっきから楓が凄く可愛いんだけど♪

 それに田辺君も"楓"って何気に名前呼びしてたし」


言われて楓を見ると何やらニコニコしながら窓の外を見ている。

時々「んふふ」とか笑い声も聞こえる。

何やら一人の世界に浸ってるみたいで村田さんとの会話も気が付いてない様子。


「うっ もしかして さっきざわついたのは名前呼びのせい?」

「多分そうだよ。それにさっき教室飛び出した楓を追いかけてったのもね。

 楓って結構人気あるから。

 最近は落ち着いたけど去年とか結構な頻度で告白されてたし。

 まぁ告白されても"好きな人が居るから"って毎回断ってたみたいだけどね。

 その愛しの王子様と付き合うことになったんだからそりゃ嬉しいよねw

 だけど楓は私にとっても大切な親友なんだから泣かせたら許さないからね!」

「お おぅ当然だろ。大切にするさ

 と ところで、楓ってそんなにモテるのか?」

「もしかして妬いちゃった? そりゃ見ての通り可愛くてスタイルもいいし、スポーツ万能で性格も良い優等生ならモテるでしょ」

「まぁ確かにな。。。そういえば、朝絡まれてたのって、その関係か?」

「う~ん 関係あるといえばあるのかな。

 あの不良たちのボスが前に楓に告白して断られてるんだよ。ただ、今まで手荒な真似はしてきたことなかったんだけど、今朝はちょっと強引で。

 でも、田辺君強かったね。普通にカッコよかったし!

 何か格闘技とかやってたの?」

「いや格闘技とは何もやってないよ。

 ただ、バスケはずっとやってたから反射神経とか瞬発力はあるのかな」

「そうなんだ。それにしても凄かったね。あ、私と楓もバスケやってるんだよ。

 田辺君もバスケ部入るの? 入るなら後で案内するよ」

「あぁ頼むよ。とりあえず、練習とか見てみたいかな」


などと村田さんと話をしているうちに委員決めも今学期の行事や試験の話しなども終わりホームルームは終了となった。

(後半ほとんど聞いてなかったけど、いいのか俺。。。)


そして、先生が教室を出ていくと、すぐに俺の周りに人だかりができた。


「ねぇねぇ田辺君って小早川さんと幼馴染で付き合ってるの?」

「帰国子女って言ってたけど英語ペラペラだったりするの?」

「部活何入るの?背高いけどスポーツ系?」

「俺、川野小で同じクラスだった清水だけど覚えてる?」


一度に聞かれてもさぁと思いつつ。

クラスに馴染むためにもと1つずつ丁寧に回答した。

1つ目

「あぁ楓とは幼馴染で、さっきあらためて告白して付き合うことになった」

と「キャーー楓ちゃんおめでとう!!」と騒ぎ出す女子達

「ちくしょーーー」と悔しがる男子達

2つ目

「4年アメリカに居たからね。日常会話レベルなら出来るかな」

と「おぉーー」という声と尊敬のまなざし

そして「今度、教えてください!」という一部の女子達。

3つ目

「ずっとバスケやってたから入るならバスケ部かな

 後で村田さんと楓に案内してもらう予定だよ」

と「やった!男子バスケも戦力アップだね!」と喜ぶ茶髪の女子

後で聞いたらバスケのマネージャさんらしい。

4つ目

「って清水! あの清水裕也か?」

「あぁ覚えててくれたか」

「もちろんだよ。よく一緒に遊んだもんなぁ。楓や村田さん含め、ゲームしたりサッカーしたりとか」

「あぁ 懐かしいな。というかサッカーじゃなくてバスケやってたんだな。俺も今バスケ部なんだぜ。田辺が入ってくれるなら大幅戦力増かな」

「まぁあまり期待しない程度でな」


という感じでクラスのみんなと楽しく話をしていると、妄想から戻ってきた機嫌よさげな楓から声を掛けられた。


「ケンちゃん 綾と一緒に学校案内してあげるよ」

「おぅよろしくな!」

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