第67話 決勝
2回戦の倉北学園との試合こそ接戦だったけど、その後の3回戦、4回戦は
危なげなく勝ち進むことが出来た。
そして迎えた決勝。
相手は去年準決勝で対戦し何とか勝てたという森下学園。川野辺高校とは決勝や準決勝で対戦することが多く、常に壁となってきた高校だ。
「今日の相手は今までも何度も対戦してきた相手だけにお互いを研究している。
ただ、田辺と栗田は森下側もデータが少ないはずだ。二人はフルで活躍してもらうから覚悟しておけよ」
「「はい!!」」
「それから北島、福島、清水。雪村直伝のセットプレイも出し惜しみするな。チャンスと思えば指示出しを行い確実に決めろ!」
「「はい!!」」
「今年こそ勝って全国に行くぞ!」
「「おぉ!!」」
コーチや小宮部長の言葉を受けコートに出る。
今日は北島先輩、小宮先輩、森野先輩に俺と栗田を入れたメンバーで先発だ。
もちろん福島や清水、長谷部、小宮先輩の相方の畑先輩もスタンバイしている。
試合開始
ジャンプボールは森野先輩。
素早く北島先輩がボールを取ろうとするが、森下のエースPG豊田がボールを奪取しそのまま攻撃に入る。
ゴール下にドリブルで入る豊田からノールックでパスを受けたSFの横田が冷静にシュートを決める。開始数秒で森下が先制した。
「やっぱりあいつのスピードは厄介だな」
「あぁ」
森野先輩と小宮先輩。去年も豊田のプレイでだいぶ苦労したとの事。
ただ、その時は川野辺にもエース的なPGである雪村という人が居て抑え込んでくれていたらしい。今回は北島先輩と小宮先輩で豊田を抑え込む作戦をとっているがそれでも中々の強敵だ。
前半。先制を許してからは豊田を抑えることで、森下の攻撃もある程度抑えられたが、反面川野辺側も2人がマークに付くことで手ごまが減り攻撃力は下がった。北島先輩を軸に俺が点を取る形で何とか点差が開くのは抑えたが、前半終了時点で5点差。結構厳しい状況だ。
「5点差は想定内だ。後半は攻めに入る。福島、清水頼むぞ!」
「任せてください!」
後半開始。北島先輩と栗田と交代した福島と裕也が早速相手ボールをカットしてゴールを決めた。
そして、福島の指示でボールを回し雪村先輩が得意としてセットプレイを連発。
まだ雪村先輩には程遠いとは言っていたが、見事な観察眼とボールコントロールで点を稼いだ。
しかし、これでまだまだとすると雪村先輩ってのはどれほどの人だったんだろうか。ちょっと会ってみたいな。
清水は豊田のマンマークに入り、豊富な運動量で豊田の動きを抑えた。
そして、フリーになった小宮先輩は攻撃にも参加し活躍を見せた。
結果、前半の5点差は直ぐに逆転しわずかながらにもリードを奪う事となった。
だが、後半から投入された福島と裕也の運動量は森下のレギュラー陣を圧倒したものの、このまま勝たせてくれるほど甘くはなく、逆転に次ぐ逆転と1点差を競うゲームとなった。
そして、残り3分。1点差のリードで思わぬ援軍が駆けつけてくれた。
「太一 一緒に全国行こ~!!」
「裕也ふぁいと~!!!」
「ケンちゃ~ん ゴール決めて!!」
と村田さんに浜野さん。それに楓。
先に試合の終わった女子バスが応援に来てくれたようだ。
応援の内容からすると女子は決勝に勝ったみたいだな。
これは頑張らねばと清水達と視線を合わせていたところで恩田先輩の応援。
「雄一~ 勝ったらサービスしてあげるから頑張れ~!!」
と応援しウインクする恩田先輩。
な 何をサービスするんですか恩田先輩・・・・
小宮部長頑張るどころか顔赤くしてるから。
それに相手選手からも[リア充死ね]的な目で睨まれてるし・・・
まぁそんなこともありつつも奮闘した小宮先輩の活躍もあり、最終的には2点差で森下学園を下し県大会優勝。そして悲願だった全国大会への切符を手に入れた。
あ、俺ももちろん頑張ってゴールを量産しましたよ。
コーチの読みの通り他の選手が動きを研究されていたのに対して、俺と栗田は比較的動きが取りやすくフリーになる機会も多かった。
だから試合全体で見ても俺にボールが集まることも多かったんだよね。
とにかく、これで全国大会進出だ。
小宮先輩達ともう少しバスケが出来ることは純粋に嬉しい。
大会の前には、期末テストや楓との旅行もあるけど、一勝でも多く勝てるように明日からまた頑張らないとな。
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あとがき
今年の投稿は区切りの良いところまでということで本日2本目です。
1/1は少し休んで早ければ1/2からアップを再開します。
楓とのイチャイチャ旅行や紅葉達との海水浴等リアルな季節は冬ですが、夏休み編を書いていけたらと思います。
それでは 皆さま良いお年を!
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