第66話 通い妻?
男女バスケ部共に2回戦を突破した翌日。
疲労がなかなか取れず、俺はグダグダと昼近くまでベッドに横になっていた。
『今日は予定もないし1日ごろごろして過ごすかな』
と思っていた時、インターホンが鳴った。
「こんにちわ~ ケンちゃん起きてる~」
楓?何か約束とかしてたっけ?
慌ててオートロックを解除し家に招き入れた。
「今日何か約束してたんだっけ?」
「ん?してないよ。来ちゃダメだった?」
「い いや、そんなことないけどちょっと驚いたからさ。来るとわかってれば、もう少しちゃんとしたカッコしてたんだけど」
今の俺は寝るとき着てたTシャツと短パンというかなりラフなカッコ。
髭も剃ってないし寝癖もあったりする・・・
「ふふん 寝起きの素のケンちゃん見れたから私的にはむしろ嬉しいけどね。
というより、朝から今日行っていい?って何度もメッセしてたんだよ!」
「う、、ゴメンさっき起きたから気が付かなかった」
「やっぱりね。昨日の試合大変だったみたいだね。
湯川ちゃんが長谷部君の応援に行ってたんだけど、みんな疲れてボロボロだったって言ってたもん」
湯川ちゃん見に来てくれてたんだ。そりゃ長谷部も頑張るわな。
あいつ結構得点に絡んでたし。
「ということで、今日は食事とか洗濯とか色々としてあげようかなと思って来たのですよ♪」
「凄く嬉しいけど、楓だって昨日試合だったんだろ?疲れてるんじゃないか?」
「まぁ疲れてないって言えば嘘になるけど、女子はそこまで激しい試合にはならなかったから全然大丈夫だよ!」
「そうか?じゃ申し訳ないけど、お言葉に甘えさせてもらうよ」
「りょうかい♪ 甘えちゃってください。
じゃとりあえず、何か作るからもう少し休んでていいよ。出来たら起こすから」
と楓は買い込んできたらしきスーパーの袋をもってキッチンへ向かった。
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料理を作る音を聞きながらベッドに横になる。
何だかこういうのも良いな。
「出来たよ~」
楓に呼ばれてダイニングテーブルに向かうと、ミートソースパスタにサラダ、コーンスープと見た目も中々見事な食事が並んでいた。
「何だか腕上げたねぇ」
「休みの日とかお母さんに色々と教えてもらってるんだ♪
・・・この間、紅葉には花嫁修業?とからかわれたけど」
紅葉の奴、、相変わらず攻めるなぁ
「は 花嫁修業ね・・ま 間違ってはいないんじゃないかな・・」
「え?ケンちゃん?」
「・・・この間、初めて楓としたとき言っただろ"責任は取る"って」
「しょうだね。。い 言ってくれたよね。私をお嫁さんにするって」
あ、オーバーヒートしたw 顔を真っ赤にして固まってる。
自分で話振っといて自滅してるし。
まぁそれはそれとして、このミートソースパスタ普通に美味しいな。
数か月前は包丁握るのも危うかったのに随分上達してる。
俺のためにとか思うと余計に嬉しいな。
「楓、このパスタ凄く美味しいよ。ありがとう!」
「ふぇ お 美味しいって言ってもらえるとやっぱり嬉しいね。
まだ、おかわりもあるしたくさん食べてね!」
うん。美味しいし普通におかわりしそうだ。
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昼食を済ませ俺が食休みする中、楓は洗濯と掃除をしてくれている。
梅雨の中の貴重な晴れ間。洗濯は後でやるつもりだったんだよね。
ただ、普通に俺の下着とかあるんだけど気にならないのかな・・・・
洗濯機のスイッチを入れて風呂掃除が終わったということで楓が俺が居るソファに戻ってきた。
「お疲れ様。ありがとうな」
と煎れておいたカフェオレを渡した。
「ありがとう あぁ美味しい ちょうどいい甘さだね」
「最近、長谷部の店でコーヒーの煎れ方は勉強してるからな」
そう。カウンターに立てるよう空いた時間はマスターや島田さんに指導を受けてるんだよね。我ながらコーヒーについては結構煎れ方は上手くなったと思う。
「そか。バイトしてるんだよね。ケンちゃん
湯川ちゃん言ってたよ。ケンちゃんがシフトに入って女性客増えたって」
「うっ そんなことないと思うけどなぁ」
いや、実は薄々気付いてました。。。
確かに最近話しかけてくる女性の方が結構多かったりして・・・でも。
「大丈夫だよ。ケンちゃんの事信じてるから。私が一番なんでしょ♡」
と俺の目を見つめて。
「もちろん。楓が誰よりも一番だよ」
とそれに答え、優しくキスをした。
「・・・もう なんかズルい」
と頬を赤らめる楓。
楓とずっと一緒に居たいな。
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夕飯は五月おばさんが2回戦突破祝いにご馳走してくれるということで小早川家へ。
「いらっしゃい健吾君。楓はちゃんと家事出来てた?」
「これって通い妻ってやつ?ねぇお姉ちゃん」
相変わらず、おばさんと紅葉は圧が強いな・・・
しかし、通い妻ってどこで覚えてきたんだよ紅葉は・・
「はい 疲れてたので凄く助かりました」
「それなら安心ね。最近楓もね健吾君の為にって花嫁修業頑張ってるのよ♪」
「ちょお母さん!!」
楓に味方なしだなこの家は・・・
などと弄られつつ食堂に移動した。
「やあ健吾君いらっしゃい」
「こんばんはおじさん。夕飯ご馳走になります」
「はは 遠慮せず沢山食べてきなさい。もう息子みたいなものなんだから」
またまた久々のおじさん。毎日帰りが遅いんだよな。お疲れ様です。
というか、おじさんまで息子認定ですか。
まだ僕ら高校生だし、楓なんかもうさっきから顔真っ赤だよ。
「ほら、お父さんも紅葉もあんまり二人をからかってないでご飯にしましょ!」
五月おばさんが一番ノリノリだったでしょ!
と今日も小早川家の夕飯は楽しく過ぎていくのでした。
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