アフターストーリー18 クリスマスの夜

俺も楓も高校3年生。

年明け早々には大学受験が控えている。


去年は奮発して伊豆のホテルで2人きりのクリスマスを過ぎしたわけだけど、今年のクリスマスは自重して地味にと思っていたんだけど・・・何故か俺は今、楓とリバーランドでクリスマスイルミネーションを楽しんでいた。


最初は、一緒に映画を見てショッピングモールでお互いのプレゼントを選びつつ買い物デートを楽しんで帰宅する予定だったんだけど、駅前に貼ってあったリバーランドのクリスマスイルミネーションのポスターを見て楓が行きたそうにしてたからついね。

ということで予定していた映画を見た後、俺達はリバーランドへと向かった。

まぁ普段しっかり勉強してるしたまにはいいでしょ。

楓も"行こうか?"って言ったら凄く嬉しそうな顔してくれたし。

一緒に居る時間は多いけど、最近ちゃんとしたデートは少なめだったからな。


「リバーランドも久しぶりだね」

「そうだな。ショッピングモールまでは良く来るけど、リバーランドまでは来ないもんな」

「去年みたいな旅行も良いけどこういうイルミネーションデートもいかにも恋人同士って感じで良いよね♪」


そう言いながら俺の腕に抱き付いてくる楓。

普段学校ではクールな感じの楓が、その笑顔反則だろってくらいのデレた顔で俺の事を見つめてくる。

"あ~もう可愛いな"


「ん?どうしたのケンちゃん。顔赤いよ?」

「楓が可愛すぎるの!」

「ふぇ!そ そう? はは ケ ケンちゃんもカッコイイよ♪」


楓も言われて照れたのか少し顔が赤い。

こういの見て"バカップル"とか言われるんだろうな・・・裕也達が居なくてよかったよ。


そんなことを思いつつ俺達はイルミネーションで彩られたリバーランドの園内を散策した。


「綺麗だね」

「だな」


木々や各種アトラクションに取り付けられたLEDの光が幻想的な空間を演出している。

園内はイルミネーション目当てのカップルや家族連れで賑わっていた。

そんな中"はぐれない様に"という言い訳をしながら楓は俺の腕に掴まる力を強めた。今日はいつもにも増して甘えん坊ですな。

でも"楓さんや・・・胸が当たってるんですが・・・"


「ねえねえケンちゃん」

「なんだ?」

「あっち見てよ」

「あっち?」


楓に言われた方を見ると・・・手を繋いて仲良さそうにイルミネーションを見ている福島と村田さんが居た。


「へぇ~あの2人も来てたんだな」

「うん。まさか会うとは思わなかったけど昨日綾が福島君を誘ったって言ってたんだ」

「そうなんだ・・・あっ」


向こうは気が付いてないみたいだけど、俺と楓が2人を見ていると、福島が村田さんを抱き寄せてキスをした。

・・・何ていうか知り合いがキスしてるとことか照れるな。


「ね ねぇケンちゃん。あっち行こか?何だかお邪魔みたいだし」

「そ そうだな」


楓も恥ずかしいのか俺の服を引きながら福島たちとは反対側の道を指さした。

にしても福島もやるときはやるな・・・・

あんなに人が大勢いる中で・・・俺も負けてられないな。


福島たちと逆方向に歩いているとリバーランドのランドマークとも言える大観覧車が見えてきた。

観覧車か・・・いいなあれ。


「楓。観覧車乗るか?」

「え?あ、そうだね。高いところから見るイルミネーションも綺麗だよね」


皆考えることは同じなのか観覧車前にはだいぶ長い列が出来ていた。

そしてその大半はカップル。

でも俺達もだけど恋人と一緒なら待ち時間も全然苦にならないもんだ。

2人でおしゃべりをしながら待っているとゴンドラに乗る順番が回ってきた。


「わぁやっぱり綺麗だね」

「そうだな。リバーランドもだけどここからだとショッピングモールの方のイルミネーションも見えるな」

「うん。ショッピングモールもこうやって見ると綺麗だね」


ゴンドラが高い位置に上っていくに従い遠くの景色も見えてくる。


「あ、花火!」

「そういえば入り口で打ち上げ花火があるって書いてあったな」


地表には様々な光に彩られたイルミネーションが広がり上空には花火。

そして・・・愛する彼女と2人きり。何とも贅沢な空間だな。


「ケンちゃんとのクリスマスもこれで2回目だね♪」

「そうだな。この先もずっと2人一緒に過ごせるといいな」

「うん」

「楓。好きだよ」

「ケンちゃん・・・」


福島たちに張り合ってというわけでもないけど自然と抱き合いキスをした。

こういうクリスマスも良いな。







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「なぁ楓・・・俺達一応受験生だよな?」

「う~ん・・・そうだね~」

「いいのか?これ?」


デートを終えて帰宅すると、リビングではクリスマス会と言うの名の飲み会が繰り広げられていた。


「ほら亮君も雫ちゃんも飲みなさい!」

「ありがとうございます。誠子おばさん」

「いや~おいしいですね。このお酒」

「だろ?健吾はまだ一緒に酒飲めないからな亮君が居てくれて嬉しいよ!」


もちろん俺も楓もまだお酒は飲めないわけだけど親父達と亮兄と雫姉、それに小早川家の面々と相良さんと美香先生、それに凛子さんまで来て盛り上がっていた。

何この宴会は?

普通、子供が受験を控えていたら親の方が気を遣うような気もするけど・・・


まぁ、家の親は"勉強する時は勉強して遊ぶときは遊ぶ。オンとオフをしっかり分ければ問題ない"っていうタイプだからいいのかもしれないけど・・・最近は自分たちが家で酒を飲む口実が欲しいだけなんじゃと思っちまうんだよな。

・・・何だか先月の俺と楓の誕生日のデジャブを見ているような感じだ。


「ただいま・・・」

「おっ健吾、楓ちゃんおかえり。どうだったラブラブデートは♪ちゃんとイチャイチャしてきたか?」


子供たちにそういう言い方するかよ親父。

まぁイチャイチャしてきたのは否定しないけどさ。


「もぉ2人ともまだ高校生なんですから・・・そのそういうことは程々にね!」

「まぁまぁ美香先生。そこは両家公認ということで大目に見てやってくださいよ」

「ご ご両親がそう言うのであれば・・・私は別にいいんですが」


"いいのかよ"

思わず突っ込みたくなってしまったけど、美香先生そこは先生らしくいかないの?

・・・まぁ先生も相良さんと年中イチャイチャしてるし学校でもノロケ語ってるし・・・それに今日は結構酔ってるよね。みんな酒豪だし。


「部屋に行こか楓。絡まれると面倒そうだ・・・」

「そ そだね」


五月おばさんの手作りなのか美味しそうなケーキだけ少しお皿に取り分けて俺と楓は部屋に戻った。もちろん俺の部屋へ一緒に・・・


「「メリークリスマス~!!」」


親父達のクリスマス(飲み会)もまだまだ続くようだ・・・


***********************

出来れば週一で更新といいつつ間が空いてしまいすみません。

リアルな方で色々集中する必要があり小説を書く気力が中々・・・

出来れば年内ももう1話位は書きたいところ。

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