第25話 紅葉の家庭教師①
午後の授業を終えた木曜日。
今日は部活も無いので普通に帰宅だ。
まだ楓の"健吾大好きキャンペーン"は継続中らしく、朝同様に俺の右腕に抱き着いて相変わらず幸せそうにニコニコしている。
そんな楓を見ていると『可愛いなぁ~』と今更ながらに見惚れてしまう。
「ん?ケンちゃんどうかした?」
「楓が可愛いなぁと思ってな」
「にゃ にゃにを急に真顔で!!しょしょういうことは二人きりの時に・・・」
耳まで赤くして俯きながら照れる楓。言語能力落ちてるぞ・・・
腕組んできたり積極的なんだけど、相変わらず褒められるのは苦手みたいだ。
そんなところも可愛くてついからかってしまう。
『はっ・・・こういうところがバカップルとか言われてしまうのか』
と考えたりしてると楓の家に到着。
学校に家が近いのはいいけど、できればもう少し二人で歩きたいなと思ったりもしてしまう今日この頃。
「じゃ、また後で顔出すから」
「うん。17:00からだよね。待ってるよ♡」
今日は部活の無い平日。
ということで前に約束した紅葉の家庭教師の日だ。
まだ時間もあるので一旦帰宅して着替えてから小早川家に行くことにしている。
それにしても、引き受けはしたものの家庭教師とかやったことないんだよな。
上手く教えられればいいけど。
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その頃の小早川家
「ただいまぁ~」
「あ、お姉ちゃん ケン兄は?」
「17:00からでしょ。まだ1時間以上前だし一旦着替えてから来るって」
「何だぁ一緒じゃないんだ」
「もう少し待ちなさい」
「うぅ~ お姉ちゃんはケン兄と毎日イチャイチャしてるけど、私は週1回とかしか会えないんだから楽しみにしてるんだから!」
「イチャイチャって。。。紅葉もケンちゃんのこと大好きだね。でも勉強教えに来てくれるんだからちゃんと勉強するんだよ」
「わかってるよ」
「楓おかえりなさい。 あら健吾君は一緒じゃないの?」
「お母さんまで・・・」
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[ピンポーーン]
「こんばんわ」
「あ、ケンちゃん待ってたよ」
「ケン兄 遅いよ~」
「いらっしゃい健吾君」
楓に紅葉に五月おばさん??
何故にそんなに大歓迎?
「さぁ上がって」
「ケン兄 こっちこっち」
「健吾君、夕飯は20:00くらいにするから、それまでよろしくね」
「はい。」
家庭教師の日は小早川家で夕飯をご馳走になることになっていた。
最初は五月おばさんが、ちゃんとバイト代を払うと言ってくれたんだけど、色々とお世話になってるのに申し訳ないと断ったところ
『それなら家庭教師の日は家で夕飯食べてきなさい』
と押し切られ、ご厚意に甘えることとなったという話し。
こちらとしては美味しい食事を頂けてありがたい。
それに一人で食べる食事より大勢で食べる食事の方が美味しく感じるしね。
ということで夕飯までの3時間が紅葉との勉強会のお時間です。
場所は紅葉の部屋。
小さい頃に入ったきりだったけど、流石に中学生だけあって女の子らしい部屋になっていた。ぬいぐるみとかも何気に置かれててたりして。
「じゃ、勉強会始めるぞ」
「「おぉ!!」」
「って何でお姉ちゃんも普通に居るの?」
「わ わたしは紅葉がちゃんと勉強してケンちゃんに迷惑かけないかの監督という事で・・・・」
「ふ~ん ケン兄と一緒に居たいからとかじゃないんだ?」
「そ それもあるけど・・・・」
口ごもる楓。諦めろ紅葉に口では勝てないぞ・・・
「まぁいいじゃん。俺も楓が居ると落ち着くし」
「・・・ケン兄 軽く惚気てるし、お姉ちゃん照れまくってるよ。まぁ私は構わないんだけどね」(私的には二人がイチャイチャしてるの見てるのも楽しいし)
「ん。まぁとりあえず、時間もあるしはじめよか」
「は~い」
ということで、勉強会初日の開始だ。
「じゃ早速だけど、今日は紅葉の実力知るためにテスト作ってきたからちょっとやってみて欲しい。一応頼まれてた英語と数学を持ってきた。
時間は1時間で出来るところまででいいからやってみてくれ」
「え~ 初日からテスト~」
「ほら 文句言わないの。折角ケンちゃんが作ってきてくれたんだから」
「ぶ~ お姉ちゃんは直ぐケン兄の肩を持つんだから。わかりました! やりますよケン先生」
「一応、俺たちの高校の過去問とかからの問題だから合格するためにはこのレベルは出来るようにな」
「過去問なんだね。そういうことなら うん頑張るよ!」
紅葉は真剣な顔つきになり問題に取り組み始めた。
まぁ楓から聞いてる限りでは、結構成績は良いらしいし大丈夫とは思うんだけど。
「楓。待ってる間、ちょっと俺にも勉強教えてくれないかな」
「ん?私が?」
「色々勉強はしてたんだけど、古文とかちょっと苦手なんだ。次の授業の箇所 少し教えて欲しいんだ。」
「うん。いいよ。古文とか国語関係は結構得意なんだ」
ということで待ってる間の1時間。俺も楓に勉強を教えてもらった。
海外に居ても日本の本とかは結構読んでたし国語の方は読解力とかそれなりにあると思うんだけど古文はなぁ~
「よ~し じゃ1時間たったんでここまで!採点するから紅葉は少し休憩な」
「うん ありがとう。やっぱり頭使うと疲れるね」
とそのまま後ろのクッションに倒れこんだ。
寛ぎすぎだぞ、、、
と寝ころびながら紅葉が話しかけてきた。
「あ、ところでさぁ」
「ん?」
「お姉ちゃん達ってもうキス位した?」
「「な 何を急に」」
「変に声が揃ってるし♪仲いいなぁ~」
「いや、まだ再会して2週間も経ってないしな・・・」
「今どきの恋人同士なら中学生でもキスとかすぐしてるよ?
ケン兄もお姉ちゃんも高校生だし、それくらいはいいんじゃない」
そうなのか?今どきの中学生ってそんなに進んでるのか!!
じゃぁ高校生なら・・・あんなこととかこんなこととか
「お姉ちゃんって、強気に見えて結構そういうの弱いからケン兄が積極的にリードしてあげないと」
「そ そうなのか。うんそうだよな」
確かにそうなのかも。俺がリードしてかなきゃだな。
やばい、色々と妄想が。。。。
しかし、こういうことを中学生に諭されるのも何だか悔しい。
楓なんか耳真っ赤で俯いちゃってるし。
「でね。お姉ちゃんはXXXで○○が弱くて・・・」
と起き上がり俺の耳元で色々と楓のマル秘情報を伝えてくる紅葉。
グッジョブだ紅葉。今後何かプレゼントしてやるぜ!
「ちょ ちょっと紅葉!!何を!!」
諦めろ楓。多分色々と俺達は紅葉には敵わない。。。
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