第49話 先輩達との差
先生が注意してくれたおかげで、女子達も声を上げるのを止めておとなしく見学するようになってくれた。
まぁ相変わらず視線は感じるけどこれ位なら。
ふと横の女子バスのコートを見ると、あっちにもギャラリーがついていた。
こちらの目当ては恩田先輩や楓、鮎川さんだろう。
ランキング上位3名が居るとなれば見てみたくはなるよな。
しかし、なんというか今更ながらにうちの女子バスって美少女率高いよな。
とはいえ自分の彼女に視線が向けられるのはあまりいい気分では無いけど・・・
------------
<楓視点>
「楓先輩。何だか見られてると緊張しますね」
と瑞樹。ちょっと不安そうな顔をしている。
「 確かにあんまり気持ちいいものではないよね」
「2人とも気を付けなよ。あのランクに入ると告白とか一気に増えるから」
と恩田先輩。
1年の時からランクインしているらしいので言葉に重みがあよね。
「先輩も苦労されたんですか?」
「そうね。1年の時は告白の数は凄かったよ。ただ、まぁ一言も話したことない人に告白されてもなんとも思わなかったけどね。
ただ、鬱陶しかったから"私は彼氏居ますよ"ってアピールしてたら、段々告白は減ったよ」
「彼氏って小宮先輩ですか?」
「そ。1年の時は仲のいい友達というか、逆に私はウザがられてたんだけど、いろんな人から告白されて考えたの。私を好きな人はたくさんいるみたいだけど、私が好きな人は誰なんだろうって。
で、その時最初に思い浮かんだのが雄一だったんだよね」
「まぁその後、告白したら"恋人とか無理"って振られちゃったけど」
と笑顔で恩田先輩。
「先輩が振られたんですか!」
と瑞樹。人気者の先輩が振られたというのが信じられなかったみたいだ。
「普通に仲は良いと思ってたし、私もまさか振られるとか思ってなかったから正直、結構落ち込んだんだけどね。。。
だから、少し意地になってたのかもだけど、しつこくアピールしてたら真剣さが伝わったのかOKしてくれたんだ。
何というか雄一は図書館で本を読んでるような物静かな子が好みだったらしいんだよね。だから早い話私と真逆な感じで・・・」
「へぇ今の感じからは想像できないですね」
「ふふ~ん。今じゃラブラブカップルだからねん。
まぁ付き合う様になって周りに仲が良いところアピールしてたら告白も自然に減ったよ」
「なるほど。そういう意味では楓先輩は田辺先輩が居るから大丈夫ですね」
と納得した様な瑞樹。
確かにそうなのかもしれないけど・・・
「私はどうしようかなぁ」
と何気に栗田君を見つめる瑞樹。
まさか恩田先輩と同じ作戦で行くの?
------------
「田辺!モテモテで羨ましいなぁ!!」
と言いながら俺のボールを取りに来る由良。中々のディフェンスだ。
というか力の入り具合がいつもと違うぞ!そんなに羨ましいのか!
ってお前だって彼女持ちだろ!言いつけるぞ!
「うるせ!俺は楓だけにモテれば十分だ!よっ!」
とシュート。ちょっと浅いか・・・
「リバウンド!」
叫ぶ由良の声を受け、長身の高田が飛びボールをゲット。
前方の福島にボールを投げる。
ボールをキャッチしスピードに乗る福島には裕也がマークに付き激しいせめぎあいをしている。
今日は1年、2年の混成でチームを2つ作り試合を行っている。
俺は最近組むことが多い裕也と長谷部、それに1年の栗田と横山を加えたチーム。
対するチームは福島と高田、吉見、由良に1年の日吉のチームだ。
戦力的には殆ど五分。
点の取り合いとなりながらも何とかギリギリ1点差で俺達が勝った。
「はぁはぁ・・・・」
少し部活が休みだったこともあり体が鈍っていたのか結構疲れた。
「10分休憩したら今後は今の勝者チームと3年チームで試合だ!」
部長が鬼に見えてきた・・・
10分後。ほぼレギュラーメンバの3年生チームと試合。
俺と長谷部で攻め、中盤を裕也と栗田がボールをキープするなど色々とやってはみたものの・・・完敗ですね。はい。
攻撃は、小宮先輩と畑先輩のコンビに潰され、北島先輩にかき回されて、森野先輩と佐藤先輩に攻められと散々な結果。。。
「すぐ負けるつもりはないが、僕達は次の大会が最後だ。夏以降は1,2年でのチーム体制になる。
今日の試合がすべてとは思わないが、各自課題をもってもう1つ上を目指して欲しい」
と小宮部長。流石良いこと言うな。
牧村コーチからの指摘箇所やフィジカル面の強化とかまだまだやることは沢山ある。夏の大会まで1つ上を目指してやる!
久々の部活で心地よい疲労感の中、楓と帰宅の途についた。
「久々の部活どうだった?」
「とりあえず先輩たちの壁はまだ高いってことが分かったかな」
「そうだね。私たちも恩田先輩達に完敗でさ。凄いなぁと思いつつもちょっとショックだったよ」
「でもいつまでも先輩達に頼ってられないしな。明日からは、体力強化のため、朝練前に少し走り込みすることにしたよ」
「・・・それ、私も一緒に良いかな?」
「もちろん!」
ということで、朝練前5時起きで近くの河川敷をランニングすることになった。
今の状態では、先輩たちの抜けた後の穴が大きすぎる。
残る俺達がレベルを上げなければ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます