第50話 楓のライバル?
人影もまばらな午前5時。
俺と楓は近くの川の河川敷を走っていた。
朝練と放課後の部活。
先輩達と同じ行動をしていたのでは、いつまで経っても追いつけないということで始めた朝練前のランニングだ。
今日で開始から3日目。
最初のうちはランニング後の朝練がきつかったけど、だいぶ慣れてきた。
「ふぅ 何だかいい汗かいたね!」
「そうだな。じゃシャワー浴びたら迎えに行くから、また後でな!」
「うん」
と楓と別れて一旦帰宅。
身体を動かした後のシャワーは気持ちがいい。
朝食を食べ、制服に着替えて小早川家へ。
楓を伴って今度は体育館で朝練だ。
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昼休み。
昼飯を食べた後、楓と村田さんは恩田先輩に呼ばれ体育館に行ってしまったのでのんびりと一人で本を読んでいると少し切れ気味の渋川さんが突然やってきた。
「田辺君!どうして連絡してこないのですか?」
「え? いや、特に用事もないし」
普通に返答したつもりだったんだけど機嫌を損ねたのか俺の事を睨んでいる。
「私が、連絡してきても良いと言ったのですから連絡してくるのが普通でしょ!」
「何だよそれ。渋川さんとは、ほとんど面識ないし話すことも特にないだろ?」
「・・・・・」
無言のまま相変わらず俺をに睨んでるけど俺が悪いのか?
と考えていると、今度は渋川さんの背後に居た女子生徒が声を上げた。
「折角麻友ちゃんが連絡してもいいって言ってるのに何なの?麻友ちゃんの連絡先が欲しいって男子は沢山いるのよ?連絡して仲良くなりたいとか思わないの?」
何故かこの子も切れ気味。。。というかあんた誰だ?
「別に思わないね」
偉そうな物言いにちょっと不機嫌そうに言ってしまった。
「何て失礼な人なの!麻友ちゃん行きましょ。こんな人相手にすることないわ。試験もどうせまぐれよ」
「で、でも」
「お前らの方がよっぽど失礼だろう!」
ん?結城?知り合いなのか?と結城が二人に話しかけた。
「悪いな田辺。こいつら2人ともテニス部だ」
「結城君。こいつの味方するの?」
「当たり前だろ。こいつはダチだし、明らかにお前らの方が悪い」
「なんでよ!」
「話し聞いてると渋川が田辺に惚れて連絡先渡したけど、連絡してきてくれないもんだから逆切れした感じだろ?」
「な なな何を」
と顔を真っ赤に結城を睨む渋川さん。どうも当たりらしい。
にしても簡潔なまとめをありがとう。
っうか渋川さんが俺に惚れたの?
「だいたい、田辺は普通に付き合ってる彼女いるんだぜ。それも凄く可愛くて一途だ。彼女持ちなのに連絡先貰った面識のない女に連絡するとか無いだろ?
こいつは、そんなナンパな奴じゃないぜ!」
「あ・・・・」
「え?どういうこと田辺って彼女いるの?」
「大崎、ちゃんと調べてから行動しろ。こいつらのイチャイチャなバカップルぶりは学内でも有名だぞ?」
と言い切る結城。
そ そうなのか?って学年じゃなくて学内?
そんなに有名なのか?俺達少し自重した方がいいのか?
「し 知ってます。小早川さんとお付き合いしてるんですよね?」
「なんだ渋川は知ってたのか。じゃ何で?まさか小早川から田辺を奪うつもりで・・・・」
「ち違います!べ 別に恋人になりたいとかそういうのじゃなくて、ただ、スポーツ大会でカッコいいなと思って・・・普通にお友達になりたいと思っただけ・・・でも、確かに彼女さんが居るのに連絡とかできないよね」
と渋川さんは、もじもじしながら頬を赤らめている。
確かにランキング2位もわかるな。普通に可愛いや。
だけど、結城とは親しそうだな。それに素直だし。
「・・・という話なんだけど、どうだ田辺?何だか俺が思ってたのとちょっと違かったんだけど友達なら大丈夫か?」
「え、あ、そうだな。まぁ友達なら」
「いいんですか!ありがとうございます!!」
何だか最初会った時とキャラが違くなってる気がするけど、渋川さんは満面の笑みで俺達の方を見てきた。どっちが素だ?
その後、あらためて渋川さんとラインの交換を行った。
そして、何故か横に居た大崎さんも俺と連絡先を交換した。
・・・・・いいとは言ったけど、そもそも友達って何するんだ?
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「お疲れ様でした!」
まぁ色々あったけど、放課後の部活も無事に終わり帰宅。
「何だか最近一日が早いね」
「確かにスポーツに勉強。やることあると1日が短く感じるな」
「うん。そうだね何だか充実してる」
疲れて帰るから食事も美味しく感じるし眠りも深い。
やることは多いかもしれないけど肉体的にも精神的にも確かに充実してるかな。
「あ、そうだ。前に約束した1泊旅行。期末試験の後の試験休みでどうかな?
夏休みは部活や大会で時間も読めないからね」
「え う うん だ い じ ょ う ぶ だ よ」
「ん?どうした」
「自分で旅行に行きたいとか頼んだけど、いざ旅行となると緊張しちゃって」
そういう言い方されるとこっちまで恥ずかしくなるじゃないかよ・・・
いつものように手を繋いではいたけど、つい握る手に力を込めてしまった。
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