アフターストーリー 02 -新入部員-

入学式も終わり校舎のあちこちで真新しい制服を着た新入生たちを見かけるようになった。


「今年はどれくらい部員入るかな」

「うん。去年はちょっと少なめだったもんね。。。」

「だよなぁ。藤原んところなんて去年新入部員多かったもんな」


うちの高校って進学校ってこともあるけど何処の運動部も大会とかで成績を残している割には部員数が少ないんだよな。

何てことを楓と話しながら体育館に向かって歩いていると


「あのすみません。バスケ部の田辺先輩と小早川先輩ですよね?」

「ん?あぁそうだけど。君は?」


新入生と思われる女の子が俺達に話しかけてきた。


「はい!私1年C組の藤原美里って言います。こっちは葉山芳江と平野直人で同じく1年C組。3人ともバスケ部の入部希望です!」


入部希望の新入生か。

なんだか元気がいい子だなぁ~・・・・って藤原?


「藤原ってもしかしてお兄さんは藤原和志?」

「はい!和志は兄です!」

「わぁバスケ部入ってくれるんだ。美玖ちゃんや恵ちゃんからも聞いてるよ。藤原君の妹の美里ちゃんと葉山さんのコンビは中々だって」

「本当ですか!美玖先輩達には凄くお世話になったんで嬉しいです」


何やら偉く盛り上がってるな。

じゃ俺はこっちの子かな。


「え~と平野君だよね。君もバスケ部に入ってくれるのかな?」

「はい!川北中ではSFしてました。よろしくお願いします」

「そっか。じゃ俺と同じポジションだな。厳しいけど頑張れよ!」

「はい・・・」

「ん?どうかしたか?」

「・・・バスケもですが、幼馴染と恋人になる方法も今度相談させてください」


と平野は目線で楓と楽しそうに話をしている藤原さんを見ていた。

・・・またこのパターンか。去年も鮎川さんに相談されたよな確か。

俺ってそんなに恋愛マスターに見えるのか?


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体育館入り口で藤原の妹さん達と別れ俺と楓はそれぞれの部活の更衣室へ。

着替えて体育館に入ると、福島と村田さんが1年生たちを集めて部の説明を始めたところだった。


「え〜俺が男子バスケ部部長の福島だ。で、こっちが」

「はい。女子バス部長の村田です。例年男女別々にで新入部員向けの説明とかやってたんだけど同じような説明も多いし合同で説明会を行う事にしました。

私と福島君で活動内容や練習についてとか説明するけどわからない事とか質問事項等あれば随時お願いします」

「「はい!」」

「ん。元気があっていいねぇ〜 じゃ説明始めるぞ」


何だか体育の先生みたいだなあいつら。

部員たちが柔軟をして練習を開始する中、新入部員たちは福島と村田さんの説明を真剣に聞いていた。

藤原の妹の美里ちゃんにその友達の葉山さんと平野君。それに幸ちゃんも来てるな。人数的には男女ともに10数名ずつで去年と同じ位か。

何人残ってくれるかなぁ~

な~んて考えながら裕也とパス連をしていると


「田辺、清水!デモンストレーションだ。例の派手なのやってくれ」

「派手なのって・・・・あれか?」

「だろうな・・・いくか健吾」

「あぁ」


と俺と裕也は新入生たちが見守る中ボールを持ってコートの端に移動。

すると福島の指示でご丁寧にも由良と吉見と栗田がディフェンスに・・・

結構難易度上げてきてくれるな。


「行くぞ」

「おぅ」


裕也がゴールに向かってドリブルを始めたのにあわせ俺はゴールに向かって走る。裕也には栗田と吉見がマークに向かう。

裕也は、マークの2人をギリギリまで引き付けたところで床面すれすれのところを俺に向けてパスをだした。

パスを受けた俺の前には由良が立ちふさがる。


俺は回転して背中を由良に向けスクリーンプレイをしつつ、マークを外し走り出した裕也に再びパスを送る。

パスを受けた裕也はハーフライン手前で遠投するかのようにゴールに向けてシュートを放った。

そして、俺はそのボールを後押しするように空中でつかみゴールへダンク!


「「おおっ!!」」

「「カッコいい!!」」


男女ともに新入生たちには受けたようだ。

でもこれって決まると気持ちいよな。

っていうか上手く決まってよかった・・・これ結構タイミング合わないと失敗するかなら。


「美玖先輩!あの清水先輩って人が中学時代に一目惚れしたって人ですよね!」

「わ~!!!な 何言ってるの美里!そういうことは言わないの!!」

「え~でも清水先輩ってカッコいいし素敵じゃないですか!

 それに一目惚れした人と高校で再会してお付き合いするって・・・本当憧れちゃいます♪」

「ま まぁカッコいいって言うのは否定しないけど・・・美里も早くいい人見つけなさいよ!」

「は~い先輩」


・・・藤原と違って妹さんはかなり賑やかな子だな。

でも早くも部に馴染んでる感じだよな。

って今度は幸ちゃんと話してるな?親し気だしあの2人知り合いなのか?


「美里と同じチームでバスケ出来るとは思わなかったなぁ」

「森下に行くと思ってたんでしょ?」

「うん。美里が大好きなお兄さんも居るし」

「お兄ちゃんも良いけど、いつまでもブラコンしてられないしね。

 私もやる気になれば出来る子なんだよ」

「知ってた♪美里はやれば出来る子だもんね」

「入学試験主席の幸に言われると嫌味にしか聞こえないぞ」

「ふふ」


俺はちょっと気になったので2人の近くに行って話しかけてみた。


「藤原さんと幸ちゃんは知り合いなの?」

「はい。中学の時に通ってた塾が同じだったんです。それにお互いバスケ部で良く試合もしてましたし」

「そうそう。いわゆるライバルってやつです。それより田辺先輩こそ幸の事を幸ちゃんて凄く親し気じゃないですか」

「あぁ幸ちゃんのお父さんとうちの親が知り合いでね」

「へぇ~そうなんですね。幸の家ってお金持ちだからなぁ~。もしかして先輩も?」

「いやうちは普通のサラリーマン家庭だよ。

 それにしても今度はライバルだった2人がチームメイトになるんだね」

「はい 凄く楽しみです!」


この2人は確実に入部してくれそうだけど今年の1年は賑やかになりそうだな。

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