第19話 新入部員
予想通りというか体育の後の授業は疲労感も相まって眠くなる。
特に春先のこの季節は色々とヤバい。
女子も今日は体育館でバスケだったらしく皆疲れて眠そうだ。
村田さんは完全に寝てるし楓も起きてるけど眠そうな顔して授業を聞いてる。
そういう俺も撃沈寸前だ・・・
『こういう時に古典の授業とか怪しい呪文聞いてるみたいだよな。。。』
等と眠い目をこすりながら午前の授業を何とか乗り切り昼休み。
今日もまた楓と昼御飯だ。
もちろん弁当は俺の自作。
「何だか毎日悪いね。。。」
「全然平気だよ。どうせ自分の弁当作るし結構楓の家で夕飯もご馳走になってるからね。それに楓が美味しそうに食べてくれるからな」
楓は何だか申し訳なさそうにしているが、毎回美味しそうに食べてくれるので俺としてはそれだけでも嬉しいのです。
「お 美味しそうじゃなくて美味しいよ。ケンちゃんのお弁当」
「ありがとうな」
「相変わらず仲いいなお前ら」
と裕也。
「弁当ならやらないぞ」
「いるかw それに美玖が作ってくれた弁当あるから大丈夫だ」
「お前らこそ仲いいじゃないか」
「ああ仲いいぞ俺らは」
「もう!恥ずかしいからやめてよね」
と相方の浜野さんが登場。『ん?長谷部もいるな。』
「どうかしたのか?」
「ん。ああ今日の朝練で新入部員の見学があるって言ってただろ。
で、今日の練習の締めに2年と3年のチームでミニゲームやるらしいんだけど、どうせなら勧誘もかねて派手にやろうかと思ってな。
さっき福島には話してきたけど、お前と長谷部でダンク決めてもらおうかと思ってる」
「先輩達を相手に上手くいくか?小宮先輩と畑先輩のディフェンス抜くのは結構大変だぞ」
あの二人のディフェンスラインは俺も抜くのはしんどい。
「まぁ福島のパスとお前たちのポジショニング次第ってところもあるけどな。
ただ、ダンクは周りにインパクト与えるから1年へのアピールにはいいと思うんだよ」
「今の3年生はどちらかというと技巧派が多いから派手なことはしてこないと思うのよね。だから2年で派手にいこうかと思ったの」
と裕也と浜野さん。流石マネージャは色々考えてるんだな。
「了解。とりあえず頑張るよ。な、長谷部」
「そうだな。ミニゲームで時間も短いし、チャンスがあれば攻めていこう」
と長谷部。
ということで楓との楽しいランチタイムはバスケ部のミーティングと化してしまった。まぁ楓も興味深そうに聞いてたし大丈夫かな?
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で、午後は午後で食事をして眠くなるわけだけど、5限、6限と何とかやり過ごし、放課後部活動の時間がやってきた。
着替えて体育館に入ると、既にコートの端に1年生と思われる集団が集まっていた。極端に身長が高いのは居なかったけど人数は結構いるみたいだ。
とりあえず、いつものように柔軟をしていると小宮部長から集合の掛け声。
見学の1年の近くに集まり軽くミーティングを行うとの事。
「部長の小宮だ。今日はバスケ部へ来てくれてありがとう。簡単に部活の説明をする。
まず、活動は月・水・金の放課後と、始業前の朝練、それから月1回程度の土日で他校との練習試合がある。
練習はそれなりにきついが、昨年は県大会でも上位に入るなど成果も出している。やる気がある者は大歓迎だ。是非入部して欲しい!」
「副部長の佐藤です。今日はとりあえず僕らの練習を見てもらう予定です。
そのあとに仮入部の受付を行うからやってけそうな人は届けを出してって下さい。なお、仮入部者は次回から練習にも参加してもらうので、来るときは動きやすい服と持ってる人はバッシュも持ってくるようにお願いします。
それと、今日は都合が合わず来れなかったけどOBの牧村さんという方がコーチとして水曜と金曜に来てくださってます。
次回は来てくれると思うのできちんと挨拶するように」
と佐藤副部長。
「じゃ 2年と3年は練習開始するぞ!」
ということで見学者の居る中 練習が開始された。
軽い柔軟の後、腹筋や腕立てなどの筋トレ。それにコート全面を使ってダッシュ&ストップなどの走り込み。それからパスとドリブルからのレイアップの練習。
基本は大切です。
そして、練習の締めとして2年対3年のミニゲーム。
3年の湯川先輩が審判としてジャンプボールを上げ試合開始。
ボールを取った小宮先輩がドリブルで持ち込むと長身の長谷部をかわし、すかさずスリーポイントを放ちゴール。
この人のシュートの正確さは県内屈指だ。
負けてられないと言わんばかりに福島がフェイントを駆使したドリブルと素早いパス回しで相手コートに攻め込み、ノールックで裕也にパス。
裕也も綺麗なスリーポイントを決めた。
俺と長谷部もゴール下のポジションを探していたけど小宮先輩と畑先輩の戻りが早く場所が取れなかった。やはりこの二人の壁は厚い。
前半は、両者得点の取り合いをしつつも点差はあまり開かず終了。
そして後半チャンスが訪れた。
福島がボールをキープしドリブルで進む中、裕也がパスを受ける素振りで畑先輩の前に走り込み一瞬だが隙を作った。
俺はその隙にゴール下に向け走り込み福島のパスを空中で受け、少し不格好なかたちになったがダンクを決めた。
予想通りというか見学していた1年や女子バスのコートでも歓声が起こり盛り上がりをみせた。
が、2年の猛攻もここまで。小宮先輩や佐藤先輩の正確なシュートは着実に得点を重ね。いつの間にやら逆転されゲーム終了。
単純にゴールの精度だけ見ると流石は先輩という感じだ。
俺もダンクの後で展開された先輩たちのゾーンディフェンスに阻まれてあまり得点できなかったしなまだまだだな・・・もっと精進しなければ!!
「「おつかれした!」」
「ん。じゃ2年はコートの清掃とボール片付けて解散な」
ということで今日の練習は終了。
さっき数えたら見学の1年は18名。
何人残ってくれるのかな。
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