第20話 新入部員 --女子バス 楓視点--

「楓先輩! 綾子先輩!」

「ん? あ!瑞樹ちゃんと小春ちゃんじゃない。もしかして仮入部来てくれたの?」

「はい。また先輩たちとバスケやりたくて」


鮎川瑞樹と大室小春。共に中学時代のバスケ部で私と綾が可愛がってた後輩だ。

瑞樹は私と同じスモールフォワード。背はそれ程高くないけどスピードと正確なシュートが打てる選手だ。小春はポイントガードでこちらもスピード重視な子。

この高校受験したのは知ってたけどまた一緒にバスケ出来るんだ。


「受験で体も鈍ってると思うけど高校バスケは厳しいぞ?」


と綾子。

確かにここのコーチって指導は的確だけど練習がハードなんだよね。。。


「あ、後ろの子たちも仮入部?」

「はい。川北中や川南中のバスケ部だった子とかも居ますよ」

「へえ。川北はバスケ強かったし戦力増だね」


と話をしていると部長会で遅れていた恩田先輩が体育館に入ってくるのが見えた。


「恩田先輩! 仮入部や見学の子来てますよ」

「おぉ!!結構人数きてるじゃない じゃちょっと集まってもらってて」

「はい!」


と来てくれた女子総勢10名に声を掛けコート脇のスペースに集まってもらった。

少し待つと、恩田先輩とOGで現役大学生の三上コーチがやってきた。

笑顔が可愛い大人な女性って感じの人だ。


「え~と、コーチの三上です。この部活のOGで今は大学生やってます。目標は体育教師です。もちろん大学でもバスケやってるので毎日は来れないけど週2回は練習見に来てます。

 ここの練習はよく厳しいって言われるんだけど、それなりの成果も出していると思ってます。ただ、無理をさせるつもりはないので、今日は私たちの練習を見て頑張ってみよう!と思えた人だけ、もう一度次回の練習に来てください」


と三上コーチ

こんな可愛い体育の先生とかいたらモテモテだろうな~と毎回思う。

ちなみに従兄の亮兄ちゃんとは同じ学部で高校時代も同級生。

前に"付き合ってるの?"と聞いてみたことあるけど"ただの友人"との事。

本当かは怪しいけどね。


「部長の恩田です。今日は来てくれてありがとう。

 バスケ部は月、水、金の放課後に活動しています。次回は水曜日の練習です。

 来てくれる人は、是非練習にも参加してほしいので、動きやすい服と持ってる人はバッシュを持ってきてね」


と恩田先輩。

この人はとにかく明るく良くしゃべる。そして何だかエロい。何というかスタイル抜群なんだよね。エロ可愛いといいますか。

それでいてバスケはポイントガードとしてメチャクチャセンスが良く上手い。

そして成績もトップクラスだというんだから本当私も綾も憧れてます。

まぁ時々ウザいですが。。。


「じゃあ2年、3年は練習開始するよ!」


と三上コーチの掛け声で今日の練習を開始。

私たちの時もそうだったけど、実際に見てもらって、入部の判断してもらうんだね。何人残ってくれるかなぁ。私たちの時は半分になっちゃったんだよね。


という事で早速練習開始。

練習内容はシンプルだけど毎回結構きつい。序盤はダッシュや筋トレメインで、中盤はボールを使ったドリブルやフェイント、シュート練習。

そして、締めはミニゲーム。

スタミナをつけるため、休憩もほとんどなく、とにかく動きっぱなしなので本当疲れる。ただ、その分練習全体の時間は短いけど中身は濃厚だ。


練習が一息ついたところで綾と見学者のところへ。


「どう?高校の練習は」

「はい。思った以上に大変そうですね。コーチの指導も厳しそうですし。。。

 でも、水曜に来てまた頑張りたいです!」

「うん。瑞樹達ならそう言ってくれると思ったよ」


と話をしていると


「「「「おおーー」」」」

と男子バスケのコートから大きな歓声

瑞樹達見学の1年も男子コート側に目を奪われている

コートに背中を向けていた私は見ていなかった。


「綾?何があったの?」

「ん。男子側でミニゲームやってたんだけど、田辺君がダンク決めたんだよ♪

 相変わらずカッコいいねぇ? あ、でもパス出したのは太一だからね♪」

「福島君か。さり気なく綾も惚気てるねw」


というか昼休みのアピール作戦成功したんだね。流石ケンちゃん♪


すると瑞樹が興奮した様子で話しかけてきた。


「あ、あの今ダンク決めた人 田辺先輩って言うんですか?」

「うん そだよ。カッコよくで惚れちゃったw」


と綾子。

すると、瑞樹には珍しく少し顔を赤くしながら


「そ そうじゃないんですが、 今朝うちの"ちくわ"が自動車に跳ねられそうになったところを助けてもらったんです。

 何も言わずに立ち去ってしまったんでお礼が言いたくて」


と話ししてきた。


「「ちくわ??」」

周りの女子一同 一斉に頭に??が浮かんだ。

『ちくわがなんで自動車に?』


「あ、ごめんなさい "ちくわ"はうちで飼ってる犬の名前です。ちなみにチワワです」

「あ、そういうことね。一瞬不思議な光景を想像しちゃったよw

 そういうことなら、練習の後で呼んだげるよ。楓いいよね?」


と綾。


「え? う うん もちろんいいよ」

『瑞樹がケンちゃんの事 好きになっちゃうとか大丈夫だよね・・・』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る