第114話 プレゼント

今週末は俺と楓の誕生日だ。

俺としては楓と二人で何処かデートでもと考えていたんだけど、何やら楓が考えてくれているようなので今回は楓に任せることにした。


ということで何処で何をするのかは当日まで秘密ということらしいんだけど、それ以前の問題として、まだプレゼントを買ってないんだよな俺。

明日は部活だけど帰りに探しに行かないと。

にしても好きな女の子へのプレゼントって悩むよな・・・・

前は紅葉に選ぶのを手伝ってもらったけど、今回は誕生日だし自分で選びたいからな。


-----------------

ということで翌日の放課後。

いつものバスケ部。

今日はコーチが不在ということで福島と裕也が指示を出しながらの練習。

冬の大会もすぐということで練習にも熱が入る。

今度も全国大会に出場して、前より1つでも上を目指す。

皆そんな思いで練習に励んだ。


放課後2時間の練習。

短いようにも思えるけど、コーチが各部員を見て作った練習メニューは良く考えられていることもあり短い時間でも密度の濃い効率的な練習が出来ている。


練習後、シャワーを浴びて汗をながし今は帰宅の時間。


「ケンちゃん一緒に帰ろ~」

「ごめん!今日はちょっと用事があって急ぐんだ悪い!」

「そか。じゃお疲れ様!」

「ごめんな!」


俺は用事があるからと足早に学校を出て、市内にある輸入雑貨の専門店に出かけた。昨日の夜にネットで調べたお店で、電車で3駅と少々遠いけど本や雑貨等プレゼントに出来そうなおしゃれグッズを売っているんだ。

結構遅くまで営業はしているけど何買うか選ぶのに時間がかかりそうだから早めに来たかったんだよな。


賑やかな繁華街から少し離れたところにある店舗は、思ったより広く中々の品揃えで人で賑わっていた。


とりあえずは端から見てくかな。

店内に入り、まずは壁際を見ると、かわいらしい装飾の本がディスプレイされていた。部屋のインテリアになりそうな洋書だ。

中々おしゃれな小物だけど、部屋に合うかが問題だな・・・

本といえば昔、誕生日プレゼントに絵本もらった事あったよな。

確か俺と楓が幼稚園に入ったばかりの頃だったよな。


~~~~~

「楓ちゃん 僕の本返してよぉ」


当時楓よりも体の小さかった俺は、誕生日プレゼントにもらった本を楓に取り上げられてグズっていた。


「ほら楓 健吾君に本を返してあげなさい!」

「いや!」

「その本は健吾君のでしょ。楓にも今度絵本買ってあげるから」

「いらない!」

「もう 要らないなら返してあげなさい!」


五月おばさんに叱られても本を返さない楓。そして・・・


「うぅ・・・だってぇ・・・ケンちゃん本ばっかり読んで楓の事相手にしてくれないんだもん・・・・」


そう言って泣き出してしまった。

~~~~~

今思うと、あの頃から楓って俺の事が好きだったのかもな。

って、流石にそれはないか♪


まぁそれはそれとして、本のプレゼントかぁ・・・

楓も良く本は読んでるけど好みとかもあるし中々難しいよな。

それにこの本は楓の部屋にはちょっと合わないかもな。

楓の部屋ってぬいぐるみとかはあるけど結構シンプルだったし。


本を気にしつつも書籍コーナーから隣の雑貨コーナーに移動し商品を見た。

そして、ショーケースに入ったあるものに目が留まった。

ジュエリーボックスか・・・

ショーケースに並んでいたのは、木目調の落ち着いたデザインの木箱。

手に取って蓋を開けると、オルゴール独特の音でかわいらしいメロディーが奏でられた。中には指輪やネックレスを入れるスペースがある。

まだ、指輪はプレゼントしたこと無いけど・・・いつかはプレゼントしたいな。

値段も手ごろだったので、とりあえずは候補として他も見て回った。


そして小一時間が経過した。そろそろお店も閉店の時間だ。

結構色々な商品は見た。こういう雑貨って見ていて飽きないというか面白い。

うん。今度この店楓も連れてデートに来たいな。

そう思いつつ、最終的に選んだプレゼントは最初に目を付けたジュエリーボックスとなった。一目惚れというか何となく気に入ったんだよな。

閉店間際の時間で、ちょっと店員さんに申し訳なかったけど、レジで頼みこんでプレゼント用にラッピングをしてもらった。

楓・・・喜んでくれるかな。


-----------------

家に帰って作り置きしてあった煮物をおかずに遅い夕飯を食べてソファーでくつろいていると、楓からメッセージが届いた。


[もう帰宅した?]

[ああ。ごはん食べてのんびりしてるとこ]

[そか。週末だけど大丈夫だよね?]

[ああもちろん。楽しみにしてるよ♪]

[良かった。折角計画経てたのにケンちゃんが来れなかったら台無しだからね]

[大丈夫だよ。俺は楓との約束が最優先だからね]

[もう♪ でもそんな事って今日は先に帰ったし]

[ごめん 今日はちょっと用事があって・・・怒ったか?]

[ふふ 怒るわけないでしょ。ケンちゃんにも用事とかあるだろうし。そんな束縛しないよ私]

[ありがとうな楓 好きだよ]

[もう・・・・・おやすみ♪]

[おやすみ]


・・・・なんというか俺の彼女可愛すぎだろ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る