アフターストーリー15 模擬試験

夏休みも残りあと1日となった日曜のラウム。

俺と楓はボックス席に座り午後のひと時をのんびりと過ごしていた。


「模試の結果どうだった?ケンちゃん」

「一応合格圏内かな。ただ、国語が思ったより点数良くなかったな。楓は?」

「私は数学が。。。でも私も合格圏内には入ってたよ」


祭りの翌日、市内の大手予備校で大学受験に向けた全国模試が行われた。

受験を控えた俺と楓ももちろん試験を受けたわけで、今日はその結果についての考察をしているところだ。


「流石だな田辺も小早川も」

「そういう長谷部も結構良かったんだろ?」

「2人には及ばないよ・・・」


今日はバイト予定だった栗平さんがお休みということで長谷部が急遽カウンターに入っている。なんでも所属しているテニスクラブの大会があるんだとか。

学校のテニス部は理由があった退部したらしいけど地元のテニスクラブに所属して頑張ってるらしい。


「相変わらず先輩達は凄いっスねぇ~」

「小春は・・・・もう少し頑張らないとね」

「う~~。頑張ります」


そしてもう一人のバイトは大室さん。

元々成績は悪い方ではなかったらしいけど2年になってから漫画やアニメに嵌って勉強をサボってしまったらしく最近は楓や鮎川さんについて必死に後れを取り戻している。

まぁ彼女は頑張り屋さんだし大丈夫だろう。


「でも2人の成績ならもう少し上位の大学も狙えるんじゃないか?」

「そうっスよ。都内の大学とか国立大とかでもいけるんじゃないですか?」


「そんな持ち上げるなよ。確かに大学はもう少しランク上げれるかもしれないけど川野辺大学も悪くはないだろ?それに学部も設備も充実してるし」

「そ。それに亮兄や雫姉、三上コーチ、恩田先輩とか知り合いも多いしね」

「だな。後は・・・俺も楓もこの町が好きだからな」


「なるほどな。まぁ俺もこの町が好きだからってのもあるんだけどな」

「長谷部の場合は愛しの湯川ちゃんも一緒だしな」

「そ それは・・・その」


長谷部もわかりやすいというか・・・すぐ赤くなるんだよな。


「照れるな照れるな♪」

「長谷部先輩照れちゃって可愛いっすね~♪」

「う うるさいな! お 大室そろそろ仕事に戻るぞ!」

「は~い。お邪魔しました楓先輩、田辺先輩♪」


まぁでも合格圏内と言いつつも受験に100%成功するって保証があるわけじゃないからな。悔いが残らないように勉強はしっかりやっておこう。



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「よっしゃ!美玖ナイシュー!」

「どうだ楓ちゃん!」

「なんか凄く悔しい。パス頂戴ケンちゃん!」

「よし!決めろ楓!」


しっかりやっておこうといってから1時間もたっていないけど俺と楓は駅前のアミューズメント複合施設にいた。

ラウムを出て帰宅しようとしてたところで裕也から"来ないか?"と電話が来たからだ。裕也と浜野さんは昼過ぎから遊んでたらしいんだけどバスケ勝負しないかとのお誘いだった。

俺も楓も大会後はランニングは続けてたけど部活はあまり参加していなかったので、久々にバスケをしたいということで二つ返事でOKを出し今に至る。


が、裕也と浜野さんのコンビは中々強力だ。

元々PGで技巧派の裕也と外から狙えるシューターの浜野さん。

それに対して俺と楓は2人ともSFで攻撃型。どこからでも狙えるし動きも負けてないとは思うけど裕也も楽には抜かせてくれない。


「健吾も小早川も勉強しすぎで鈍ってるんじゃないのか♪」

「言ったな裕也。楓勝つぞ!」

「うん!行くよ!」


「こっちも行くぞ美玖!」

「負っけないよ~楓ちゃん♪」


結局3ゲームを行い2-1で清水&浜野チームの勝利。

何だか悔しい・・・


試合後、ゲームセンターで少し遊んだ後は裕也の実家である小料理屋あかねへ。

この夏休みは昼飯で随分お世話になった気がする。


「あら、いらっしゃい健吾君、楓ちゃん」

「ども。おばさん」

「こんばんわ」


裕也の先導でお店に入るとおばさんが料理の仕込みをしているところだった。

ここのお店はお袋の味的な総菜も人気なんだよね。

それに最近は浜野さん考案の料理なんかも追加されて売り上げに貢献してたりもする。浜野さんもごく自然に厨房に入ってくしもう家族だよな。


「で、健吾。今日も俺と美玖の創作料理の試食付き合ってもらうからな」

「もちろん。この間のは中々美味しかったし今日も期待してるからな♪」

「あぁ率直な感想が欲しいから遠慮しないでコメント出ししてくれよな」


カウンターに座った俺と楓に裕也と浜野さんが目に立つ形で沢山の料理が振る舞われた。

どの料理も従来の客層とは違う若年層をターゲットとして、写真映えしそうな見た目などこだわりが感じられる。

前回も感じたけど、見た目だけじゃなく基本となる味もしっかりしてるんだよね。

裕也が作ったというのが未だに信じられないというか不思議な感じだ。


「うん。いい味だし見た目もインパクトあるしいいんじゃないかな」

「そうか?見た目でそう言ってもらえると嬉しいな」

「私は、こっちのサラダはもう少し薄味でいいかな。ちょっと塩分強いかも」

「やっぱりかぁ~気にはしてたんだよね~」


そんなやり取りが続き、お腹も膨れたところで今日は解散となった。

もちろん代金は払ったけど試作品ということでかなり割安。

食べたもの全部をメニュー化は出来ないだろうけど試食した身としては、どれがメニュー化されるのか少し楽しみだな。

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