第44話 スポーツ大会 その後に

今期大会での全ての競技が終了した。

最終的に総合優勝は俺達2年A組となった。

そして、記念品の他に念願の副賞である温泉保養所行の切符も手に入れた。

今は最後の表彰式。

学級委員ということで、俺と楓が代表して校長先生から目録を授与されている。


「君たちは2人ともバスケ部だったね。成績も学年上位みたいだし、これからも文武両道スポーツに勉強に頑張りなさい」

「「はい」」


校長先生からのお言葉。

結構普段からフレンドリーに生徒に話しかけてくれる校長先生だけど、あらためて対面して話しかけられると緊張する。


目録を受け取ると大きな拍手。

頑張っただけに何だか嬉しいね。

ちなみに職員の列に居る小島先生が一番大きな拍手をしている気がする。

温泉行けることになって良かったですね先生!


そして、各球技ごとのMVPの発表。

こちらは学食の1週間分の定食チケットが副賞としてもらえる。

中々実用的だ。

バスケのMVPは準優勝にはなったけど攻守ともに活躍した恩田先輩と優勝チームを引っ張った裕也が受賞した。

そしてサッカーは優勝した3年生チームかと思いきや準優勝の2年 梶が受賞した。

確かにあいつが居なかったらC組は学年優勝とか出来なかったと思う。

バレーボールは、3年生でバレーボール部部長の片瀬さんが受賞した。湯川さん曰く受賞して当然の活躍だったそうだ。


こうして長かったスポーツ大会も終わったわけだけど・・・

この後、長谷部のお店を貸し切ってクラスみんなで打ち上げを行うのです!

何というか、最初は数人でご飯食べる程度の予定だったんだけど、話を聞いた長谷部の親父さんが、破格の値段でお店を貸し切りにしてくれたんだ。

もちろん食事つき。そして、お金的なところは皆の両親と相談し上手く調整もしてくれた。本当ありがたいことです。


ということで、ホームルームを終え今は長谷部のお店。喫茶店「ラウム」


「じゃ みんなお疲れ様でした! そして優勝したぞー! かんぱ---い!」

「「「かんぱーーい!!」」」


あ、もちろん未成年なのでジュースやお茶です。

人数も多いので、テーブルは端に寄せて立食形式&ビッフェ形式での食事会。

ビッフェは親父さんがやってみたいということで試験的に試しているみたいだけど、この店喫茶店だよね・・・親父さんはどこを目指してるんだろう。


「美代ちゃん。この料理持ってって!」

「は~い」


湯川さんは学校の後、ホールのバイトということでこの打ち上げの手伝いに来てくれている。そして・・


「美代 このドリンク裕也達のテーブルにお願い」

「うん 持ってっとくね。あ、誠君は打ち上げの参加メンバなんだから給仕は任せてね」


と自分の家なので中々落ち着けない長谷部。

しかし、二人ともいつの間にやら名前呼びだし息もぴったり・・・

まさか、俺と楓の関係を既に追い越して・・・・


「恩田先輩たちを抑えて優勝とか綾達何気に凄いよな」


と福島。

クラス違うのに何気にシレっと紛れてる。多分村田さんが呼んだのかな?

まぁ福島が居ると村田さんも嬉しいだろうし構わないけどね。


「本当、恩田先輩は凄かったよ。私と柚木の二人で何とかって感じだったもんね。でも、個人的には最後決めてくれた美玖がうちのMVPだね」

「やめてよ~ いいところにポジション取れてただけだから」


と浜野さん。謙遜してるけどベストなポジションをとるのも実力だよ。


「私は吉川先輩のマークがきつかったよ。先輩背が高いからシュートコースも取りずらいし動きも早いからね」


と楓。


「確かに恩田先輩が目立ってるけど裏に吉川先輩が居るから恩田先輩も色々と自由にできてるんだよね。いいコンビだよ。私達も先輩達みたいなコンビ目指そうね!」


と村田さん。

そして、今日のスペシャルゲストとしてC組のサッカーMVP男である梶とお仲間の古川と岡部も打ち上げに来ていた。

帰り際に俺が声を掛けたんだ。ダメかと思ってたけど、声掛けたら意外とすぐOKしてくれた。


「梶、それに古川。お前らどうしてサッカー部入らないんだ?

 お前らの実力ならレギュラー狙えると思うぜ」


とサッカー部の木村。確かに勿体ない。


「タイミング逃した」

「え?」

「だから入部のタイミング逃したんだよ!」

「なんだそりゃ?」

「あ、解説するわ」


と古川。こいつは毎回こういう役回りだな。。。


「梶だけど入学早々他校の不良に絡まれて病院送りになったんだよ。俺も梶もこんなカッコしてるけど、喧嘩とかしたことなくてな」


カッコだけだったんだ・・・ 確かに前に楓に絡んでた時もメチャ弱かったな。


「で、梶が退院して学校に戻ったころにはクラスのコミュニティもある程度出来ちまってたし、部活も活動が始まってて今更って感じになってたわけ」

「ふ~ん。古川たちは何で入らなかったんだ?」

「俺や岡部は梶が居たからサッカーやってた様なもんだからな。こいつがやらないんだったら俺たちもってな」


本当古川たちは梶と仲がいいんだな。


「そういう事か。ちなみにその昭和不良スタイルは関係あるのか?」


そうその何だか古風な不良スタイル。


「あ、これな 梶が入院してるときに読んでた[特攻の空手部]って漫画の影響だよ。不良にボコられたのは自分が弱いからだ!って俺らも付き合って皆で筋トレ始めた頃に読んでたんだけど、主人公が本当カッコいいんだ。

 ひ弱だった少年が、空手を始めて、族のヘッドを目指すんだ!

 憧れちゃうね。時間あったら是非読んでみてくれ」


と饒舌に語る古川。

何で空手家が族のヘッドを??途中の説明省略しすぎだろ。

ちょっと気になるけどな!


「・・・・・・意外と軽い理由なんだな」

「まぁ最初は変な目で見られるし、抵抗もあったけど、最近は何だか違う自分になったみたいで結構気に入ってるぞ」


と梶。そうなのか・・・理由がコスプレと同じような感じだぞ。


「まぁ何にしろサッカー部の事は考えといてくれ。

 夏の大会以降は俺が部長になる予定だし、お前らの実力なら途中入部でも悪いようにはしない。

 それに正直言うと3年の先輩たちが抜けるとかなり戦力が低下するんだ。お前たちならそれを十分補える」


と木村。確かに梶達なら十分な戦力だな。


「あぁ俺達もサッカーは好きだからな。考えとくよ」


と梶。即決はしないみたいだけど嬉しいのか表情は緩んでるな。

わかりやすい奴だ・・・


梶や古川も交え、田中や木村、それに裕也達と昔話や俺が居なかった時代のサッカーの話しなど中々に盛り上がった。

梶も以前は面倒な奴とか思ってたけど、直接話しすると意外といいやつだ。


こうして、今度こそスポーツ大会の幕は閉じたのでした。


ちなみに皆高校生ということで打ち上げは19:00で終了。

皆で後片付けして帰りました。

疲れたし今日はよく眠れそうだ・・・・


あ、でも来週は中間試験が・・・


************************

別でアップしている小説「あたしってどう?」にも恩田さんや梶君が登場しています。こちらは元々思い付きで始めた短編なので、後数話で終了予定ですが、本作とはまた違った雰囲気のお話ですのでよろしければこちらも読んでいただければ幸いです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る