第43話 スポーツ大会④

さて、最終日。

今日は3年生の決勝戦と総合優勝を掛けた学年対抗戦だ。

学年対抗戦は1年生と2年生が戦い、その勝者と3年生が戦うわけだけど、俺たちはサッカーとバレーは負けてしまったので、男女共にバスケで1年生と3年生に挑むことになる。

ちなみに1年生は鮎川や栗田のいるクラスとの対戦だ。

後輩に遅れは取りたくないので、この試合は絶対に勝たなければ!

そして3年生は今日が決勝だけど、多分小宮先輩と恩田先輩のクラスが勝ち上がってくると思う。

正直なところ先輩たちのクラスはバスケ部も多いし勝てる気がしない。

ただ、勝たないと温泉も手に入らないので頑張るしかない・・・


ということで第1試合。

3年生がサッカーとバレーの決勝を行う中、新体育館では1年生対2年生のバスケの試合が男女同時に行われる。


「楓先輩!入学早々先輩たちに挑戦できるとは思ってませんでしたが、温泉のため今日は勝たせていただきます!!」

「甘いわよ瑞樹!私達も温泉行きたいし絶対負けないわよ!」


と鮎川さんと楓・・・君たちそんなに温泉に行きたいのか?

『楓との旅行は温泉にしようかな・・・』


一方男子側のコートでは


「先輩!今日はよろしくお願いします!」

「おぅ本気出して掛かってこいよ。俺達も全力で迎え撃つ!」


と栗田君と裕也の師弟?対決。

栗田君は体育会系というか先輩に対して礼儀正しいね。


両コート共にアップも終わりいよいよ試合開始だ。

観客席には既に出番を終えた1年生と2年生が応援に駆け付けている。


[ピッ]

男女ともに試合が開始された。


「綾!」


ジャンプボールを制した楓が村田さんにボールを出す。

いつもの攻撃パターンだ。


「行かせません!」


と村田さんの進路をふさぐように鮎川さんがマークに着く。

が、ここは村田さんの方が上手。後方の柚木さんにボールを戻しゴール下に走りこむ。そして柚木さんからパスを受けた楓へスクリーンとなりシュートをフォロー。2年生が先制だ。

その後も楓達の猛攻が続く。鮎川さんのマークで村田さんの機動力はやや落ちては居たものの、代わりに楓がボールを捌き川野さんや浜野さんがシュートを決め点差を広げていく。


「く~流石先輩達強い・・・」

「まだまだ後輩には負けてられないからね」


と村田さん。

その後も楓達は手を緩めることなく攻撃を続け12点の大差で1年を圧勝した。


「はぁ。。。次は絶対勝ちますからね!」

「ん。頑張れ後輩!」


そして男子。

女子と同時に開始した試合は女子同様に2年生の攻勢で徐々に点差が開いてきていた。栗田も頑張っていたが、裕也の方が明らかに上手。

マークにあいながらも俺や長谷部にパスを出し、ゴールを量産した。

結果、女子以上の15点差をつけて2年生が勝利した。


「先輩少しは加減してくださいよ~」

「馬鹿野郎。手抜きして温泉行けなかったら美玖たちに何されるか・・・」


確かに女性陣の温泉への熱意は半端ない。次も頑張らないと。


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第2試合が終わったところで昼休憩。

そういえばサッカーもバレーボールも予想通り2年生が勝ったみたいだ。

梶のやつ本当サッカー部入ればいいのに。

長谷部も湯川さんの応援しっかりできたみたいだ。今日も一緒に弁当食べてるみたいだし中々尊いねぇ~


「楓。恩田先輩相手ってやっぱり厳しいか?」

「う~ん。嘘でも大丈夫って言いたいけど、先輩って全国レベルの選手で、これといった隙も見せないんだよね。綾と柚木ちゃんで抑えてもらう予定ではあるんだけどやっぱり厳しいかもね」


やっぱりあの人凄いんだな。さっき3年女子の決勝見てきたけど、あの人だけ別次元のレベルだったしな。


「まぁでも先輩も人間だ。ミスることもあるだろうし攻めてこうぜ!」

「うん。ケンちゃん達も小宮先輩達相手だけど頑張って!」


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昼休憩が終わり、いよいよ3年生との対決だ。

相手は予想通りの先輩方だ。


「小宮先輩!手加減しませんからね」


と裕也。


「中々威勢がいいじゃないか。僕や佐藤に勝てると思ってるのかな?」


と小宮先輩。先輩が挑発気味に話してくるなんて珍しい。


一方隣のコートでは女子バスも決勝が行われようとしていた。

こちらは恩田先輩と村田さんが話をしている。


「先輩!今日は温泉の為にも勝たせてもらいますよ!」

「ふふ~ん。私だって雄一と美肌の湯に行きたいんだから負けないわよ」


とりあえず、この2人も温泉に入りたいことは分かった。

温泉すげー人気だな。学生向けで有料営業すれば利益出るんじゃないか?


といよいよ最後の試合が開始された。

この第3試合はバスケだけではなくサッカーとバレーも同時スタートだ。


ジャンプボールは吉川先輩が制して恩田先輩にボールが渡った。

一番持たせたくない人に持たせてしまった形だ。


「先輩!止めさせていただきます」

「2人でマークにつけば何とかなるさ」


先輩はパスのフェイントを行いつつドリブルで切り込みそのままゴールを決めた。恩田先輩のゴールに大歓声の会場。すげー人気だ。

村田さんと柚木さんがマークについていたのに軽く振り切りゴール決めるとか、やっぱりこの人は凄すぎる。

その後も恩田先輩を軸に3年生チームは得点を重ねるが、楓や浜野さんのゴールラッシュで何とか4点以上は引き離されないように点差をキープし後半戦を迎えた。

点の取り合いが続く中、ラスト1分で点差は2点。

緊迫するこの時間帯で村田さんがパスをカットしボールは浜野さんへ。

吉川先輩がシュートコースを塞ぐも後ろに倒れこむように飛び自らシュートコースを作り3ポイントを決めた。

このシュートには客席も大歓声!2年生が一気に逆転した。

残り時間もほとんどなく焦る先輩方に無情にも試合終了の笛がなった。


「まさかマネージャに決められちゃうとは・・・美玖大丈夫なら次の大会選手登録するか?」

「い いいんですか?私が試合に出ても?」

「もちろんだ。美玖も女子バスのメンバだろ」

「ありがとうございます!!」


ちょっと涙目の浜野さん。フルタイムは無理かもだけど秘密兵器として活躍しそうだ。リハビリとか努力してきたのが報われたね。


「田辺!」


リバウンドを取った長谷部からのパスを受け、3ポイントを放つ。

放物線を描いたボールは綺麗にゴールに入った。

が、先輩たちのリスタートは速い。佐藤先輩の投げたボールを小宮先輩が受けドリブルで切り込みレイアップを決めた。俺のゴールからわずか数秒だ。


「やっぱり凄いな先輩達」

「あぁでも俺達も負けちゃいられないからな」


と長谷部と裕也。

その後も一進一退の攻防が繰り広げられたが、ついに試合終了。

女子同様に1点差で2年生が勝利した。


「ふぅ。まさか負けるとは思わなかったな」


と小宮先輩。


「本当だよ。小宮に僕に畑までこのクラスに居るんだぜ。2年生に負けるとか考えられなかった。まぁ でもそれだけ優秀は若手が来たってことだよな。」


と佐藤先輩。佐藤先輩も今回はシュートに守備と大活躍だったな。


「次の大会で3年は引退だ。清水、田辺、長谷部頼んだぞ!」

「「はい!!」」


ちなみにサッカーとバレーボールは3年生が勝ったらしい。

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