第42話 スポーツ大会③

大会2日目。

今日は3年生の1回戦と1,2年生の決勝戦が行われる。

午前中1試合目で女子バスケ、2試合目で男子バスケの決勝。

そして午後の4試合目にサッカー決勝がある。

初戦は楓達の女子バスケの応援ということで皆で体育館へ向かった。


楓達の相手はD組。このクラスも女子バスメンバが何気に多い。

普段チームメイトなだけに楓や村田さんの癖も知ってるし中々やいりずらい。。


「綾子。相手はお前たちの癖や戦略は掴んでるだろうから正攻法で攻めず、いつもと違った攻め方でいくんだ!」


なぜかB組の福島が村田さんに熱くアドバイスを送っている。

まぁB組は男女ともにバスケは負けたので恋人の応援ってところだろうけど、福島の戦術眼は中々鋭いので村田さんも助かるんじゃないかな。


「ねぇねぇケンちゃん。私にはアドバイス無いの?」


何だか楓が村田さんに対抗して俺にアドバイスを求めてきた。


「そうだなぁ。福島の言う通り楓達の動きはある程度予想されていると思うから、浜野さんを上手く使うとかありかもな」

「ん?美玖ちゃんを」

「そ。浜野さんは普段はマネージャーだしプレイは研究されてないだろ?楓がゴール下でリバウンドを確保して浜野さんや初戦でも点を入れてたバレー部の川野さんにボールを回すとかね」

「うん。確かにいいかも。試してみるよ!」

「あぁ応援してるぞ!」


とメンバーは試合に向けてコートでアップを開始した。


[ピッ]

試合開始。

ジャンプボールは楓じゃなくてバレー部の川野さん。

背の高さとジャンプ力は流石で、見事ボールを村田さんの方に弾いた。

すかさず村田さんのマークに着く吉見さん(B組の吉見 優の双子の妹だ)


「綾!悪いけど今日は勝たせてもらうよ!温泉行きたいし!」


と吉見 妹。


「残念!私も温泉行ってもちもち肌になるんだもんね!」


とノールックで前を走る楓にパス。


「ちっ 凛!」


ともう一人のバスケ部 大野 凛が楓のシュートコースをふさぐ


「残念 楓!」

「残念はそっち!」


とゴールとは違う方向へボールを投げる。

そしてボールを浜野さんがキャッチしそのまま3ポイントを決めた。


「っ川北のシューター浜野復活かぁ。私ファンだったんだよなぁ~」


と大野さん。女子の中で浜野さんは結構な人気プレイヤーだったらしい。

その後も普段とはポジションを変え柚木さんが前線でシュートしたりと相手を混乱させながら浜野さんや川野さんが得点を重ねA組の勝利。


「ちぇ 温泉行きたかったなぁ~ 私らに勝ったんだから総合優勝しろよ!」


と吉見 妹。これで2年女子のバスケはA組が優勝。

明日1年との1回戦を戦い勝ったら3年生と勝負だ。

多分3年生のチームは恩田先輩の居るA組になりそうな気がする。強敵だ。


女子の試合の熱気冷めやらぬ中、今度は男子バスケだ。

対戦相手は女子同様D組。このクラスはバスケ部は由良一人だけ。

ただ、バレー部の長身選手が多い。油断は出来ないけど、ボールを上手く回せれば勝てるはず。


試合開始。

ジャンプボールは長谷部が制した。

落ちたボールを裕也が拾い自らゴールに切り込み開始数秒で得点を上げた。

浜野さんの活躍に触発されたのか動きにキレがある。


「ナイスシュー裕也!」


俺は裕也をハイタッチで迎えた。

ただ、同じバスケ部ということで由良も黙って負けてはくれない。

普段は守備型の選手だけど、この日は中盤でパスを回しチームにチャンスを作る傍ら、裕也にマンツーマンでマークにつき俺達のチャンスも潰してくる。

中々普段の由良からは見られないプレイスタイルだ。


「何だか随分気合入ってるな由良!」

「ふん!勝つって恵に約束したからな!」


と由良。知らなかったが、どうも同じクラスの吉見 妹と付き合ってるらしい。

彼女が応援してくれてるなら確かにこの頑張りもわかる!

でもな、俺や裕也も大好きな彼女が応援してくれてるんだ。

"温泉連れてって"って物欲チックなところも感じるけど手を抜いた試合何て出来るわけない!

と、俺は裕也が動けない分、ゲームをコントロールするとともにゴールを量産した。結果10点差をつけての勝利。

これで、2年のバスケはA組が男女ともに優勝だ。


午後。バレーはA組は1回戦で負けたので決勝は湯川さんたちのB組と同じくバレー部メンバが多いD組。

中々にハードな展開の試合が続きギリギリのところでB組が勝利した。

そしてテンションが上がった湯川さんが応援していた長谷部に抱き着くというハプニングが試合後にあった。

『早く告白して付き合っちゃえよ!』まぁお幸せに。


そして本日ラストの男子サッカー。対戦カードはA組とC組だ。

C組といえば、忘れてたけどあいつの組だ。


「ふん。逃げずによく来たな田辺!」


相変わらずのリーゼントが決まっている梶。


「まぁ学校行事だし逃げたらまずいだろうしな」


と俺。我ながら現実的な考え方だ。


「あ、ついでに言っておくと俺は今日控えだから。」

「な なんだと!!俺との勝負はどうなる!!」

「しらん」


と冷たく言い放つ俺。

まぁそんな小芝居を挟みつつ試合は開始された。

C組とは練習含め何度か対戦しているけど正直こいつら強い。

サッカー部が多いD組を倒しただけあってチームワークも良いし中盤をまとめる梶のテクニックも凄い。本当サッカー部に入ればいいのに・・・


試合は開始早々に梶がドリブルで切り込み、ペナルティエリア内に入ってすぐに強烈なシュートを放った。

木村がパンチングで凌いだが、詰めていた古川がヘディングシュートを決めた。

古川をワントップのFWにおいて中盤を梶が仕切る形で試合は進みA組はチャンスらしいチャンスを作れないまま1点差で前半を終えた。


後半は俺と裕也と結城が入り、俺と結城のツートップで試合が進められた。

負けているということで、全体的にラインを上げ攻撃を主体とした戦い方をしたが、逆にカウンターを貰い更に点差が開いてしまった。

後半ロスタイムにて何とか1点を返したが、そのまま試合終了。

サッカーはC組の優勝となった。



******************

スポーツ大会はあと1話続きます。










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る