第41話 スポーツ大会②
いよいよ。大会本番。
天気も気持ちがいいくらいの快晴だ。
今日は1年、2年で各競技4試合ずつが行われる。
各クラス男女の競技時間は被らないように設定されているので、俺達のクラスは
女子バレーが1試合目、男子サッカーが2試合目、女子バスケが3試合目、そして俺も出場する男子バスケは4試合目に行われる。
ちなみに対戦相手はB組で、勝ちあがるとC組とD組の勝者とで明日決勝を争うことになる。
とりあえず出場する4試合目までは何をしてても良いんだけど、女子の試合もあるので応援のために長谷部や裕也とバレーが行われている旧体育館へ向かった。
「あ、ケンちゃん応援に来てくれたんだ!」
と楓。楓の周りの女子も男子が応援に来たので少し盛り上がっている。
「あれ?楓バスケじゃないの?」
「うん。バレーも登録はしてるんだ」
確かに楓は背も高いしジャンプ力もあるしバレーも向いてるかも。
ただ、福島情報だとB組ってバレーボール部が多いんだったよな。
「B組はバレー部多いみたいだけど、応援してるから頑張れよ!」
「うん!」
B組のコートにはバレー部の湯川さんもいる。
「楓。バスケで敵わなかったけど今日は私達のB組が勝たせてもらうよ!」
「うっ湯川ちゃんが真剣になってる・・・」
B組女子はバレーに賭けてるとか言ってたけど気合が違うな。
そんなに温泉行きたいのか?
そして、いよいよ試合開始。
早々に湯川さんをはじめとしたバレー部の猛攻が始まった。
楓達も何とか1セットは取ったけど、やはり実力に差がありストレート負け。
1年間部活に打ち込んできた方々は強かった。。。
『楓!気持ち切り替えてバスケで勝負だ!』
ということで女子の試合の応援後、足早にサッカーを行うグランドに出た。
レギュラーメンバーは既にアップを開始していたので、俺たちもアップに参加した。一応はサッカーも選手登録してるからね。
サッカー部員はB組とD組に多いらしくB組との練習試合では1勝3敗と負け越している。正直結構辛い勝負だ。
ということで負け覚悟で今日の作戦は"ガンガン攻めろ!"
とりあえず守りはサッカー部でディフェンダーの田中とキーパーの木村に任せて3トップのFWはひたすら攻める。疲労が見えてきたら俺達と交代という流れだ。
補欠要員の俺も裕也も結城もどちらかというとFW選手だからね。
試合開始。作戦が功を奏したのか、先制点はA組。
FWは足が速いということで陸上部の小竹と近藤。それにテニス部の津島の3人。
B組の守備を撹乱し先制点をゲットした。
だが、そこはB組。奇襲は何度も通じず、徐々に3人の運動量も落ち逆転を許してしまった。そして前半もあと数分というところで順次FWメンバは交代。
少し体を温めたところで後半開始とともに攻めた。奇襲ではなくドリブルとパスを多用しゴールを奪いに行ったのだ。
結果同点に追いつきそのまま試合終了。
勝負はPK戦へもつれ込んだ。
「PKとかすごい久々だよな」
と裕也。正直俺もサッカーからは遠ざかっていたので何年かぶりだった。
あ、もちろん決めたよ!
今のところB組のシュートは木村がすべて防いでいたので、5人目のキッカーとなる裕也が決めればA組の勝利だ。
静かに助走をつけて放った裕也のシュートはゴール左隅に吸い込まれた。
「いいぞーー!ゆうや~愛してる~!」
と浜野さんの声援に照れながらも嬉しそうな裕也。決勝進出確定だ!
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教室に戻り昼休憩。
俺はいつものように楓と弁当を食べる。
「う~やっぱりバレー負けたの悔しいな~」
「まぁB組女子ってバレーに力入れてたからな。バスケで頑張ればいいじゃん」
「確かにそうなんだけど何だか悔しい!」
と楓。やっぱり楓って負けず嫌いというか・・・
そういえば村田さんと長谷部はB組に行っている。
村田さんはいつもの通り手作り弁当を持って福島のところに行ってるんだけど、長谷部は何と湯川さんが弁当を作ってきたということで一緒に食べてくるとの事だった。何気に進展してるんだね。
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午後の部。
初戦は楓達含めた女子バスケだ。
楓も村田さんも温泉のためにはここで勝つしかないので気合が入っている。
副担任の小島先生も何故かコート脇で見守っている。
「みんな行くよ!」
「「おお!」」
と村田さんの掛け声に応えコートに出ていく。
[ピッ]
ジャンプボールを楓が横に落とすと素早く村田さんがキープしドリブル。
マークを引き付けたところでコートのファー側にポジションをとっていた浜野さんにパス。それを浜野さんが綺麗な3ポイントで決めた。
「ナイス美玖!!」
と裕也。相変わらず綺麗なシュートだな。
その後も浜野さんや楓の活躍で得点を重ね大差で勝利をおさめた。
楓に村田さんに柚木さんのバスケ部3人に加えて浜野さんまで居るんだから強いよな。女子に笑顔が戻ってきたし、次は俺達の出番だ!
「相手は福島たちだ。楽してたら勝てない。気合入れてくぞ!」
「「おお!!」」
スタメンは俺に長谷部、裕也。それにテニス部の結城とバレー部の佐山。
結城も佐山もバスケの経験は体育だけとの事だが運動量は豊富だ。
[ピッ]
ジャンプボールは長谷部が制したが、落ちたボールは福島が素早くキープ。
やはり福島のスピードとバスケセンスは流石だ。
そして素早く走りこむ高田にパス。そのままレイアップでゴールを決める。
高田は地味だけどゴールの正確さは部内でもトップクラス。
そして守りに入ってる吉見も俺が苦手とするタイプのディフェンダーだ。
『あぁ~やりにくい!!』
と文句も言えないので、ボールをすぐ拾い前方の裕也にパスを出す。
A組の中盤は裕也が組み立てるが、相手が福島ということでいつも以上に気合が張っているらしく、少々プレイは荒いけど上手くボールをさばいていた。
俺と長谷部も吉見のディフェンスに悩まされながらも得点を重ね、一進一退の攻防となった。
後半ラスト30秒。A組は1点差で勝っていたが、ここで高田が3ポイントを決めた。
2点差。
ボールを拾った俺は素早く裕也にパスを出しそのままライン際を走る。
裕也は前線にいた結城にパスを出すがシュートはゴール枠。
そしてリバウンドを拾った長谷部がライン際の俺にパスを出した。
残り5秒。サイドライン際からの3ポイントが決まり1点差で勝利。
ギリギリの時間とギリギリの点差で、何とか男女ともに決勝に駒を進めた。
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