第45話 膝枕
「あぁ~疲れた。やる気が出ねぇ~」
「わたしも~~」
と裕也と浜野さん。
「をぃ!お前らが勉強会やってほしいって頼んできたんだろうが!」
「まぁまぁケンちゃん」
今日は俺の家に裕也と浜野さん、楓を呼んで勉強会をしている。
模試の後、中間試験が心配だからと裕也に頼まれたんだ。
・・・だというのに開始1時間でこれだ。全く。
「ま まぁ集中力って、そんなに長くは続かないからな。苦手な事なら猶更だ。とりあえず少し休憩しようか」
「流石は田辺君 賛成!賛成!」
と何やら持ってきた荷物から箱を取り出す浜野さん。
「今日、勉強教えてもらうから、お礼ということで家で作ってきたの」
とクッキーとカップケーキをテーブルに並べた。
「「おお!」」
「紅茶とかある?なければ一応ティーパックは持ってきたけど」
「ん。紅茶ならあるぞ。準備するからちょっと待ってくれ」
キッチンにてお湯で少し温めたティーポットに茶葉を入れ沸かしたお湯を注ぐ。
少し蒸らしていると紅茶のいい香りがしてきた。
4人分のカップをテーブルに並べ紅茶をゆっくり注いだ。
「う~ん いい香り! ダージリン?」
と浜野さん。香りだけでわかるのか!凄いな。
「うん正解。凄いね香りだけで!帰国する時に母さんにもらったんだ」
「料理もだけどお菓子作りとか好きだから紅茶も結構詳しいよ」
「凄いね美玖。このクッキーもカップケーキもお店で出せる味だよ」
と既に食べ始めてる楓。お腹空いてたのか。。。
ということで俺も一口。うん。本当に美味しい。
裕也の弁当も作ってるって言ってたし、確かにこれだけ料理上手なら裕也のお母さんも気に入るわ。2代目も安泰かな。
「本当 お世辞抜きで美味しいね。裕也も幸せもんだな」
「あぁ 美玖みたいな彼女が居る俺は幸せもんだぞぉ~」
と浜野さんの膝枕で寝そべる裕也。
「おい!ナチュラルに人の家でいちゃつくなよ」
「ただの膝枕だろ? 少し食休み」
って裕也達は日常的に膝枕とかしてるのか!!
お 俺はまだしてもらったことないぞ!!
と横に座る楓をも見ると、少し恥ずかしそうに俯きながら自分の膝をポンポンと叩き俺を見つめてきた。
『こ これは、俺も膝枕していいってお誘いか!!』
『いいのか楓 人前で!本気にしてしまうぞ俺は!』
とか思いつつも気が付けば俺は楓の膝に頭を乗せ横たわっていた。
こういう誘惑には勝てません・・・・
「太もも痛くない? 」
と楓。そんなことないですよ。
何となく女の子の香りというか少し甘い香りがして凄く心地いい。
「ん。全然大丈夫。気持ちいいよ」
「本当 良かった♡」
と俺の顔を見る楓も恥ずかしいのか頬を少し赤くしている。
ちなみに俺は楓を見上げるような姿勢になるわけだけど、顔との途中にあるものが中々のボリューム。結構大きいんだよな・・・
何だかくつろぐどころか心拍数上がってる気がするんだけど・・・
・・・このままで1日を過ごしたい誘惑もあったけど、週明け早々から中間試験。
俺や楓の成績もだけど、裕也と浜野さんの赤点を回避しないと今後の部活にも影響がある。とりあえず勉強せねば!
「じゃそろそろ再会するぞ!!」
と名残惜しいけど体を起こして教科書を広げる。
「へぇ~い」
と裕也も少しやる気を出してきた。
模試と違って中間試験や期末試験は、出題範囲もある程度絞られてくるし、問題も学校の先生が作るので何となく傾向もわかる。ただ、その分学科数は多い。
この学校に来たばかりの俺は傾向とかわからないから、そのあたりは楓が説明。
俺も凄く参考になった。
1日で詰め込めるところは限られてくるので、出題されそうなところを重点的に勉強。実際の問題については俺も解説できるので難しそうなところはコメントしつつ勉強を行った。
そして19:30。一区切りついたしお腹も空いてきたということで本日の勉強会は終了。後は各自で勉強だ。
「ありがとな健吾、小早川。何だかここ最近で一番勉強した気がした。やっぱり一人でするより人が居た方がやる気出るな」
「なら、浜野さんと勉強会でもやればいいじゃんか」
「そうだよね。確かに」
「・・・美玖とだと色々他の事しちゃうから勉強にならないんだ」
「もう!裕也!余計なこと言わない!」
何かな色々他の事って・・このバカップルが。
こっちまで恥ずかしくなるわ。
「あ、それはそうと二人ともまだ時間あるか?お礼と言っては何だけど、うちの店で食事しないか?」
「時間はあるけど、いいのか?普通に営業中だろ?」
「大丈夫!厨房借りて私が料理作るから!」
と浜野さん。うん もう2代目襲名だね。
「楓は大丈夫か?」
「うん。ケンちゃんと食べるつもりだったし」
あ、そうなのね。
「じゃ 決まりだな。じゃ行こうぜ!」
ということで急遽裕也の家が経営している小料理屋にて夕飯となった。
お店は長谷部の実家の喫茶店のすぐ近所。
駅横の居酒屋などが立ち並ぶ飲食街の中程にある。小さい頃、楓や村田さんとも何度かご飯をご馳走になった馴染みの店だ。
「いらっしゃいませ!!って裕也に美玖ちゃんか。ん。後ろの2人はもしかして楓ちゃんと健吾君?」
「「ご無沙汰してます」」
「あらあら まぁまぁ二人とも美男美女になっちゃって、おばちゃん嬉しいよ。
健吾君も帰ってきたのは聞いてたけど元気にしてる?ご飯食べてる?」
相変わらず、楽しいおばさんだw
でもお店やってるせいか化粧のせいか、高校生と大学生(裕也にはお姉さんが居ます)の子供がいるとは思えないほど若く見える。
「健吾達と食事したいんだけど、奥のテーブル席借りていい?食事は美玖が作ってくれるって言うから、邪魔にはならないと思う」
と裕也。
「いいよ。今日はそんなに混んでないしね。後、食事もお任せコースでよければ私が作るよ。美玖ちゃんも皆で話とかしたいだろ?あんたも少しは気を使っておやり!」
「あ、お義母さん 大丈夫です。お仕事の邪魔になるかと思って私が裕也君にお願いしたんです」
ん?今お義母さん って言った?本当に結婚前提なのかこの二人。
「そうなのかい?じゃちょっと手伝ってもらおうかね。でも、本当に変な気は使わなくていいからね」
「はい。色々と勉強させてもらいます!」
と鞄からエプロンを出して厨房に入っていく浜野さん。
「何だか浜野さん楽しそうだな」
「あぁ元々料理が好きだからお袋に料理教えてもらうのが楽しいらしい」
「そうなんだ。というかああやって並んで料理してると本当に親子みたいだな」
「そ そうだな・・・」
珍しく裕也が照れてる。浜野さんとおばさんが親子ってことは裕也の奥さんになるってことだしな。
その後、浜野さんも手伝いをしたおばさん曰くお任せコースが運ばれてきた。
ご飯、味噌汁、焼き魚に煮物や漬物等、これぞ日本の食卓という感じのメニュー。当然美味しいんだけど、なんというか懐かしい味がした。
美味しい食事ご馳走様。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます