第3話 恋人同士?

俺はあいつの隣に帰ってきた。

神社の境内で、そんな幼馴染の楓が俺に抱き着いている。

・・・・何でこうなった?


「なぁ楓 とりあえず落ち着いて離れよう」

「嫌! だって7年。7年も待ってたんだよ!」


と涙を滲ませ上目遣いで俺を見上げてくる。

『うっ 可愛いというか、その上目遣いは反則だろ・・・』


小学生の頃は俺より楓の方が背も高かったし、体格もがっちりしてた。

でも今は背も俺の方が大分高く、体も女性らしく成長していた。

そう。抱き着かれると当たるんだよな。。。。

色々と健全な高校生が理性保つのが大変なものが。。。。

(こいつ結構大きいみたいだし。。。)


それにしても楓ってこういうキャラだったか?

確かに小さい頃はよく一緒に遊んだし仲良くしてたけど、俺に対しては高飛車というか命令口調で攻撃的だった気がする。

それが、今日は俺の帰りを一途に待ってました的な・・・


もしかしてあれか?

子供にありがちな好きの裏返しで、つい虐めちゃうとか・・・

裏返し・・・ってことは、こいつは俺の事が好き?

いやいや まて落ち着け健吾。

確かに俺が引っ越すとき、あいつは泣いてたけど、幼馴染の友人が居なくなることに対して泣いてたんじゃないのか?

それとも俺の事が好きとか、そういった素振りはあったのか?


う~何だかもうよくわからんけど、今のこの状況からして楓が俺に好意を持ってるのは多分確実だ。

だがしかし!田辺健吾17歳。彼女いない歴=年齢だ!

女の扱い方というか彼女との付き合い方なんざ全く未知の世界。。。

俺も楓の事は好きか嫌いかで言えば好きだし帰国したら一番に会いたかったというのは嘘ではない。

これはもう"両想い" "恋人同士"ってことでよいのか?


いやいや違うぞ健吾! 世にいうラノベの恋愛ものでは"告白"しないといくらイチャイチャした関係でも付き合ってるとは言えないと読んだ記憶がある。

だから、多分今の状態は両片思い的な仲の良い友人・幼馴染ってやつだ。

一線を越えるためには、"彼女の好意はどうせ俺の勘違い"的な事に苦悩しつつ告白しハッピーエンドになるんだ。

そうだ!だから今ここで変に楓が俺の事好きとか勘違いしたら駄目なんだ。


と考えを結論付けし、視線を再度楓に向けると・・・

まだ俺の事を潤んだ瞳で見つめていた。

と自然と言葉が出てきた。


「あのさ楓 7年も待っててくれてありがとな」

『な、なんだ楓の瞳を見てるとセリフが勝手に。。。』


「久しぶりに会って気が付いた。俺は楓の事が好きだったんだって

 嫌なら断ってくれてもいいけど、俺と付き合って欲しい」

『苦悩して告白するんじゃなかったのか俺?』


楓は一瞬驚いた表情をしたが、


「うん。私もケンちゃんの事が大好き。彼女にしてください!」


と とびきりの笑顔でまさかのOK

そして「これで私たち恋人同士だね♡」と俺の胸に顔を埋めてきた。


今日再会するまでの7年間の楓の事を俺は知らない。

でも俺の記憶の中にはいつも幼馴染の楓の姿があった。

それが恋なのかはわからなかったけど、こうして自然と告白の言葉が出てきた

のが答えなのかもしれないな。


「これからもよろしくな 楓!」

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