第93話 親父とおっさん②

昨日は小早川家にて夕飯を頂いたわけなんだが・・・

予想通りというか、親父達4人は、久々の再会で盛り上がり結局明け方まで飲んでいたみたいだ。

4人とも学生時代からの知り合いということもあり、会うと年齢を忘れてしまうと笑いながら言っていたけど、そういうのって何だかいいよな。

俺も裕也や福島たちとそんな関係になれたらいいな。


ちなみに俺と楓、紅葉は早々に宴会場と化したリビングを撤退しようとしたんだけど、五月おばさんに掴まり


「健吾君も今日は泊っていきなさい!これは未来のお義母さんからの命令よ」

と楓の部屋に連れていかれた。


「五月おばさん・・・流石にまずいんじゃ」

「何言ってんの。もう二人で旅行とかも言ってるんだしいいでしょ」

「わ わたしは別に構わないけど・・・」

と楓まで話にのってきたので、そのまま楓の部屋にお泊りとなった。

流石に、紅葉も隣の部屋にいるし1階では両親が酒盛りして中で、"あれ"な事はしなかったけど、楓のベッドで2人抱き合って寝させていただきました。

いつもは俺の家で・・・だからちょっと新鮮な気分だったな。


そして今。

あれだけ飲んでいたのに何事もなかったかのように朝食を作る五月おばさんとそれを手伝ううちの母がキッチンに居た。

親父たちもソファでくつろいでいる。二日酔いとか言う言葉はこの人達には無いのだろうか。


「あら、おはよう健吾君。昨日は"楓"と一緒でよく眠れたかしら?」


とニヤニヤしながら話しかけてくる五月おばさん。


「楓ちゃんもおはよう。健吾の事は色々お願いね。

 しっかりしているようだけど結構抜けたところあるから」


とうちの母。抜けてるって何だよ!


「は はい こちらこそよろしくお願います」

「あ、そうだ。五月から聞いたけど最近料理に目覚めたとか。

 明日までお世話になるから田辺家の料理も教えちゃうから覚えてね」

「はい!」


・・・田辺家家庭の味ってやつですかね。

もうそれって花嫁修業通り越して嫁と姑の関係じゃないのか?

まぁ楓も嬉しそうだし、俺も嬉しかったりするけど。


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そんな、賑やかな朝のひと時の後、俺と親父達、それに小早川家の皆さまは大樹さんの運転で待ち合わせ場所のレストランに向かっていた。

俺と楓だけが行くのかと思ってたけど、大樹さんや五月おばさんも相良さんとは知り合いらしく久しぶりに会うことになったそうだ。


「おじさんも相良さんと知り合いだったんですね」

「あぁ 大学でプログラミング部という名の実質ゲームを楽しむサークルに入ってたんだけど相良はその時の後輩だな」

「良く大樹さんや相良とはゲーセン巡りしたり相良の家でゲームしましたね」

「だな。途中からは誠子さんや五月も一緒にな」


へぇ親父たちが学生時代からの付き合いなのは知ってたけど、そんなつながりがあったんだ。でも、親父がゲームってのは意外だ。

どっちかというと今の親父と母さんは、アウトドア派だもんな。


などと親父たちの昔話を聞いているうちに待ち合わせ場所に到着した。


「お待ちしてました!」

「もしかして凛子さんですか?ご無沙汰しています。田辺です」

「ご無沙汰してます。皆さま・・・というかあまり固くならないでくださいよ。

 歳は取りましたけど皆さんに会えるの私も楽しみにしてたんですよ。

 雄一兄さんに大樹兄さん、誠子姉に五月姉♪

 それから健吾君に楓ちゃんと紅葉ちゃんかな?」

「はは 敵わないな。じゃ俺達も凛子ちゃんって昔みたいに呼ばせてもらうよ。

 健吾達は覚えてないよな。小さい頃に凛子ちゃんにも会ったことあるんだぞ」

「え?そうなの」

「ふふ まぁみんな小さかったですからね。

 あ、兄さん達もさっき着いて部屋に居ますのでご案内します」


と凛子さんこと相良さんの妹さんに案内され建物に入った。

レストランとは言われたけど、どちらかというと結婚式場っぽいねここ。

建物も大きいし1階は確かに普通のレストランだけど上階はチャペルや宴会場もあるみたいだ。

入り口の案内板を見ると予約は一杯みたいだし結構繁盛しているみたいだな。


レストランに入り通路を奥まで進むと幾つかの個室が並んでいた。

凛子さんはその内の1つの前で立ち止まりドアをノックした。


「兄さん。田辺さんたちが来ましたのでご案内しました」

「おぅありがとな」


ドアを開け中に入ると相良さんと小島先生。そして相良さんに似た感じの男性が一人座っていた。


「雄一、それに大樹先輩、誠子さんに五月さん。よく来てくれました!

 それから健吾君と楓さん、紅葉さんだったね。

 健吾君と楓さんはこの間の祭りで会ったけど、まさか雄一たちのお子さんとはなぁ~」

「相変わらずだな。でも元気そうで何よりだ。

 で、お隣の方が婚約者の小島さんかな?

 行き遅れたかと思ってたけど、可愛い嫁さん見つけて!」

「あ、あの小島美香です。よろしくお願いします」

「おいおい。洋も雄一君も相変わらずせっかちだな。

 とりあえず座ってもらいなさい。これじゃ会食もスタート出来ないだろ。

 凛子食事の方頼む」

「ん。じゃあ料理用意するね。飲み物はそこのタブレットから頼めるから美香ちゃんよろしくね」

「はい 凛子さん」


席に座った俺達は親父と相良さんの仕切りでお互いの紹介をし歓談を始めた。

あ、さっき座るように仕切ってくれた人は相良さんのお兄さんでした。

俺のマンションのオーナーらしいんで後でお礼を言っておかないと。

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