第94話 親父とおっさん③
飲み物を聞いて周る小島先生。
凛子さんとも仲良さそうだったし、何だか相良家にすっかり馴染んでいる。
婚約者ってくらいだから結婚も秒読みなんだろうな。
「田辺君に小早川さん。まさかこんなところで会うとは思わなかったけど、今日はよろしくね♪」
「はい こちらこそ。でも何だか先生いつもと雰囲気違いますね」
今日の先生は、お化粧も服装も学校とは全く異なり、ちょっと大人な女性の雰囲気を出している(まぁ背は低いけど・・・)
「そ そりゃ婚約者の家族やそのお友達に会うわけだし・・・」
「先生 可愛いっ」
「こ こら大人をからかうな。
そ それからここのレストラン。前に洋さんに連れてきて貰ったことあるんだけど、どの料理も凄く美味しいわよ。色々運ばれてくると思うけどたくさん食べてってね」
「「はい!」」
何だか先生も学校とは雰囲気違うし凄く楽しそうだ。
それに相良さんと居るとき凄く良い笑顔してるんだよな。
って”食べてっててね”ってもう相良家の一員だな。
「楓、先生凄く幸せそうだな」
「うん」
「そういえば母さんたちは?」
「あっちでうちの母さんと凛子さんと飲んでるよ」
「え!明け方まで飲んでたのにまた?」
俺達が先生と話をしている間にいつの間にやら奥のテーブルに移動して酒盛りを始めていた。母さんと五月おばさんは市内の女子校に通っていたらしいけど、凛子さんはそこの後輩との事で仲がいいらしいから積もる話もあるんだろう。
『あ、先生が捕まった・・・』
まぁ先生もお酒強いみたいだし大丈夫かな・・・
「そういえば、健吾と楓ちゃんとはお祭りで会ったんだよな」
「あぁ、拓也の焼き鳥食べに行く前に偶然な。最もあの時は2人が健吾君と楓ちゃんとは思わなかったから、ろくに話もしなかったけど」
「まぁそうだよな、2人とも大きくなったしわからなくても仕方ない。
しかし、拓也のやつも出店してたのか。久々にあいつとも会いたいな」
「誘ったんだが旅行行く予定が入ってたみたいでな、来年帰国したらあいつの店借り切って飲み会開くからそれまで我慢しとけ」
「そりゃ楽しみだな」
何だか親父の交友関係も広そうだ。
焼き鳥屋に知り合いがいるなら、俺も食べに行ってみたいな。
「親父。そういえば、相良さんの婚約者の小島さんだけど、俺と楓の学校の副担任なんだよ」
「え!そうなのか。川野辺高校の先生とは聞いてたけど」
「うん。数学の先生だよ。最近はバスケ部の顧問にもなったし、私も色々お世話になってるの」
と楓。そうだよな女子バスは顧問にもなったし俺よりも接点は多いよな。
「え~と 小島先生。今更ですが健吾の父です。息子が色々とお世話になっている様で」
「あ、私は楓の父です。部活でもお世話になってるとか。ご挨拶が遅れ失礼しました」
親父も大樹おじさんも母さんたちに捕まってお酒を飲んでる小島先生のところに行って、急に真面目な態度で小島先生に挨拶しだした。
あ、母さんたちも何だか真面目な顔して保護者っぽい雰囲気出してる。
「えっあの・・・そんな大したことしてませんし。
2人とも成績も優秀で学級委員もしてくれてますし、その、あの」
急に親父達から"先生"って呼ばれて困ってるな。だから事前に教えておいたのに・・・って先生涙目で俺に"何とかして"って視線送るの止めて!
「親父。お世話になってるのは間違いないけど、今日は相良さんの婚約者として来てるんだし学校の事はおいておこうよ。先生も俺と楓の親に詰められても困っちゃうだろ」
「そういう事。今日は俺の婚約者の小島美香さんという事で接してあげてくれ」
俺に続くように相良さんも助け船を出してくれた。相楽さん優しいな。
俺が口ださなくても多分フォロー入れてたな。
「ちなみに先生と言えば、田中と山口さんも健吾君達を教えてるらしいぞ」
「え?そうなのか?」
「ん?田中と山口?って物理の田中先生と化学の山口先生?
もしかして二人も親父達の知り合いなの?」
「あぁ俺たちのサークルの後輩でな色々と面倒見てたんだ」
何というか世間は狭いな・・・
「ちなみにようやくあいつら結婚するらしいぞ」
「「ええ!田中先生と山口先生が結婚!」」
「あっ洋さん、それって内緒にしておいてって田中先生が・・・・」
「しまった。。。という事なので、この事はここだけの話という事で」
結構、相良さんっておもしろい人なのかも。
そういえばゲームとかのサークルって言ってたしな。
「了解です。秘密という事ですね。
でも田中先生たちまで相良さんや親父の知り合いとは思いませんでしたよ。
それに結婚する程仲が良いとは・・・むしろ言い合いしてる現場の方が多かったような」
「喧嘩するほど仲が良いってね。
まぁ俺や美香もだけどあの二人も地元民だからな。
田中と山口さんは川北中出身で川野辺高校、川野辺大学のコースだよ」
「そうなんですね。やっぱり教師になる場合って地元が多いんですかね」
「う~ん。求人次第だろうけど、それがどうかしたのか?」
「俺、実は教師目指してるんですよ。だからそういうの興味あって」
「ん?健吾は教師目指してるのか?初めて聞いたぞ」
「まぁ親父の前で言うのも始めてかもな」
そういえば将来の事とか真面目に話したことなかったな。
というか、仕事忙しくて滅多に家に居なかったし。
と珍しく将来についての真面目トークをしていると
「私も先生を目指してます!」
と楓が元気よく宣言して割り込んできた。
ん?楓?少し顔赤いってもしかしてお酒飲んだ?
「しょうなんだぁ~ 田辺君も小早川さんも先生ににゃりたいんだぁ~」
小島先生・・・結構飲んでるみたいですけど大丈夫ですか?
母さんと五月おばさん、それに凛子さんは相変わらず呑んだくれているし。。。
運転するからノンアルにしてる大樹おじさんとお酒が強いのか、親父と相良さん、そのお兄さんの幸治さんは元気そうだ。
「みんな、大丈夫ですかね・・・・」
「そうだな。凛子たちはまぁまだ飲むだろうけど、美香と楓ちゃんは少し休ませた方がいいかもな。上の階に休憩所あるから、そこ行って少し休んでもらうか」
「はい」
と相良さんは小島先生、俺は楓に肩を貸して休憩室まで移動した。
「ん?紅葉。何してるんだこんなとこで」
部屋に居ないと思ってたら紅葉が2階のロビーで休んでいた。
「あ、ケン兄ちゃん。お母さんたち結構酔ってたから避難してたんだよ。
絡まれるんだもん。それに、ほらあれ見て」
「あっ」
紅葉の視線の先には、綺麗なウエディングドレスを着た花嫁さんが式場入り口で新郎と写真を撮っているところだった。凄く素敵だ。
「やっぱりウエディングドレスって素敵。私も早く着たいなぁ~」
「そうだな・・って楓起きてたのか?」
「うん。着せてくれるの待ってるからね」
「あぁ期待して待っててくれ」
「ケンちゃん・・・」
「楓・・・・」
「・・・・え~と中学生には刺激強すぎるのでこの先は二人っきりの時にでも」
「仲いいのねぇ~、田辺君と小早川さん♪」
「はは。二人とも立派になったなぁ~」
何だか恥ずかしい。。。
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