第28話 ちょっとやきもち
放課後。
仮入部の1年も今日から本格的に練習に参加だ。
何気に俺も入部したてなのに早くも後輩が出来てしまった・・・
「栗田!足が止まってるぞ!」
「はい!」
1年の栗田。裕也が中学時に目を掛けてた後輩でディフェンス寄りの選手だ。
今、1対1で裕也がドリブルでゴール下に切り込むのを必死に栗田がディフェンスしている。ただ、力量的にはまだまだ裕也の方が上なのか少しづつゴール下に攻め込まれている。
「あっ!」
栗田の一瞬のスキをついて、裕也がレイアップを決めた。
「よーーし。少し休憩だ」
と牧村コーチの号令で、各所で練習していた部員はタオルを取りに行ったりドリンクを飲んだりと休憩に入る。
俺は、裕也にしごかれていた1年の栗田に話しかけてみた。
「おつかれさん 惜しかったな。確か栗田は裕也の中学の後輩なんだよね?」
「え~と 田辺先輩でしたよね。お疲れ様です。
はい中学のバスケ部では清水先輩に色々とお世話になりました」
さっきの全然惜しくないです。清水先輩余裕でしたから・・・
「まぁそうだな結構、練習の当たりきついかと思うけど、それだけ栗田が期待してるからだと思うから頑張れよ!」
「ありがとうございます!」
栗田と話をしていると、
「田辺先輩!タオルどうぞ♡」
と女子バスの鮎川さんが近づいてきた。向こうも休憩中の様だ。
前にペットの犬を助けてあげたことがきっかけて妙に懐かれている。
最初こそ俺が、憧れの先輩である楓の彼氏と知って遠慮した話し口調だったけど、楓から何か言われたらしく最近は普通というか好意的な感じで話しかけてくる。
「ありがとう。どう?練習慣れた?」
「はい。受験で体も鈍ってましたし大変ですけど、私も楓先輩や綾先輩みたいに活躍したいので頑張ります!」
うん。元気でいい子だね。
「なぁ鮎川~ 俺にはタオル無いの~」
「そこらの使えばいいんじゃない?」
「俺の扱い雑だな・・・いくら先輩がイケメンだからって・・・寂しなぁ~」
「そ、そんなんじゃないから!」
「はは、仲いいね。2人は中学同じなんだっけ?」
「仲良くないです!ただ、残念ながらこいつとは小学校から一緒で、私もこいつも川野中でバスケ部のキャプテンやってました」
「へぇ凄いねキャプテンか。どうりで2人とも上手いわけだ」
「いえいえ。まだまだですよ。綾先輩や清水先輩がキャプテンだった頃は本当強かったんですから」
「確かになぁ。俺たちの代も先輩達の県大会ベスト4を目標に頑張ったけど
結局ベスト16止まりだったしなぁ」
そうか。裕也も楓も中学時代凄かったんだなぁ。今度聞いてみよ。
「ベスト16でも凄いと思うよ。もっと自信持てよ」
「はぁ。でもやっぱり先輩達って凄いですよ。
清水先輩にしてもスピードやシュートの精度も上がってるし、それにその清水先輩のディフェンスを抜いてシュート決める田辺先輩も凄いっすよ」
「本当、カッコいいです!!」
何だか後輩たちの尊敬の眼差しが・・・
「あ、そろそろ練習再開かな。鮎川さんも戻らないと。
栗田 この後俺と1対1やらない?」
「えっ俺と練習してくれるんですか?是非お願いします!」
「栗田いいなぁ~」
「はいはい。瑞樹は私が相手してあげるよ」
と楓。何気に俺のところに行った鮎川さんをチェックしてたのかな?
ん?もしかして俺のこと睨んでる・・・・目線がちょっと怖いよ・・・
「「お疲れ様でした」」
「じゃぁ1年は片付けしっかりな!」
ということで今日の練習も終了。
1年が入ったことで片付けもお任せ。俺も新人のはずなんだけどねw
ということで着替えて今は楓と帰り道。
「瑞樹と随分 仲が良さそうだったね」
「えっ。普通に話ししてただけだよ。それに鮎川さんに何か言ったの楓だろ?」
「そりゃまぁ、私に気兼ねなくケンちゃんと話していいよとは言ったけど、タオル持ってくとかああいうことするとは思ってなかったし・・・」
「妬いちゃったかw」
「ケ ケンちゃんのバカ!」
「痛!」
軽く肘を食らった。痛いぞ楓。。。
「ところで楓 明日とかって何か用事あるか?」
「ん?明日 特に無いよ。模試も近いし少し勉強でもしようかなとか思ってた位」
勉強か。偉いなぁ~ 流石は優等生だ。
「なぁ 勉強なら良かったら俺の家に来て一緒にしない?」
「え?ケンちゃんの家。
ふ ふたりきりでだよね・・・う うんもちろんいいよ!
あ、そうだケンちゃんの家に行くならお昼私が作るよ。」
「おっ楓の手料理!それは楽しみだな~」
「まだ簡単なのしか作れないけど、お母さんに色々教えてもらったんだ」
「じゃあさ、駅前で待ち合わせして買い物してから家に行こうか」
「うん♡」
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