第64話 福島のライバル

部活は月・水・金と試合までは練習の時間もあまりない。

このため、火曜と木曜も校庭の端を借りて筋トレやパス連携の練習を行った。

もちろん、体育館を使えるときは例の特別練習だ。

俺としてはかなり疲れるけど、色々なメンバと1対1を繰り返すことで俺自身のレベルアップにもつながってはいるように思える。

ちなみに清水や福島、長谷部、栗田も仮想倉北ということで俺と同じような扱いを受けているらしい。

・・・本当に俺達と相手の選手の特性近いのか?単に俺達を鍛えてるだけ?


そんな練習を繰り返していた木曜日。

校庭での練習と軽いミーティングを終え、楓達と校門方向に歩いていると、倉北の制服を着た背の高い男が居た。


「あっ!小泉」 

「おぅ 福島!久しぶりだな」


小泉って倉北のセンターの?

俺達と同様に相手校のデータを見ている中で福島の存在を知り会いに来たとの事だ。


「神奈川に引っ越したのは知ってたけど、まさか対戦するとは思わなかったよ」

「俺もだ。小泉はバスケ推薦で青葉高校に進学決まってただろ?」

「あぁ青葉高校に入学して、去年は県大会決勝まで行ったよ。

 ただ、その大会で倉北のスカウトの目に留まってね。条件が良かったんで話を受けて2年からこっちに来たんだ」

「そうだったんだ。倉北ならバスで行ける距離だよな。近くにいるならもっと早く会えたのにな」

「だね。それにしてもこんな形で君との勝負を再開できるとは思わなかった」

「ん?勝負」

「そうだ。僕と君どちらが上かを掛けた勝負。忘れてないだろ?

 現状は僕の50勝49敗。記念すべき100戦目は次の試合の勝者ってのどうだ?」


なんだその記念すべきって。

それよりこいつらチーム内で100戦近くも対戦してるのか?って言うか練習での勝負をわざわざカウントしてるのか?

と、小泉が俺達に視線を移した。


「福島、こちらの方々はバスケ部の人か?」

「あぁ今のチームメートだよ」

「そうか」


と少し背筋を伸ばし、俺達の方に向き直った。

そして、


「僕は小泉 寿。福島とは仙台の若葉中学で一緒にバスケをしていました。

 今は倉北高校でセンターをやってます。明後日の対戦楽しみにしてます。もちろん僕たちが勝ちますけどね」


宣戦布告ってやつか。しかも丁寧な口調で挑発して・・・


「おい小泉。悪いけど勝つのは俺達だ。試合楽しみにしてるぜ」


と福島。おぉ、珍しく燃えてる。


「ふん。まぁせいぜい頑張ってくれたまえ」


踵を返す小泉。

と視線が俺達の横に居た楓や村田さんの女子バスメンバに。


「福島。そちらの女性陣は?」

「あぁ女子バスの部員だよ。で、この人は俺の"彼女"の村田さん」

「も もうこんな場面で紹介とか・・・・か 彼女とか♡

 あ あの村田ですよろしく」


とさりげなく村田さんを紹介。

ん?なんか小泉固まって何かぼそぼそ言ってる[彼女だと、かのじょだと・・・]


「ふ ふん 彼女作ってるとか余裕だな! お前には絶対に勝つ!っくそぉ」


と何故か少し半泣きで帰って行った。


「どうしたんだあいつ?」


福島・・・倉北学園は男子校だぞ。。。。察してやれ。。。。


****************************

あとがき


少々短めですが、試合の前に入れたいエピソードだったので追加しました。

この後もいつもの2:00ということで年内は頑張って毎日投稿めざします。

#無理だったらすみません。


今日の主役の福島たちが活躍する「あの日の思い出」も完了に向けもうひと頑張りする予定です。よろしければこちらも見てやってください。


その他、新作短編で「あの時の君と」も最近アップしました。

この作品とは雰囲気違いますがよろしければこちらもよろしく!




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