第135話 クリスマス③

カーテンを開けたまま寝てしまったためか窓から差し込む光が眩しい。

『7時前か。いつもなら朝食とランニングを終えて楓の家に向かってる時間だな』

日頃の習慣のせいか休みだというのについ早く起きてしまった。


隣りを見ると楓がまだ気持ちよさそうに眠っている。

『可愛いなぁ』

このまま寝かせといてあげたい気もしたけど、この後の予定もあるし楓を起こすことにした。


「楓 そろそろ起きるよ」

「う~ん ケンちゃん しゅき~だよ~」

「おっ!」


楓の頭を撫でながら耳元で声を掛けるとまだ寝ぼけているのか楓が俺に抱き着いてきた。お互い裸のままで寝ていたこともあり色々なところが直接肌に触れ合ってしまう。

朝から刺激が強いぞ・・・・・・ったく。


俺の理性もちょっと我慢するのが厳しい状況だったので"起きない楓が悪い"と言い訳をしながら寝ている楓を抱きしめそっとキスをした。


と楓が目を覚ました。

そして俺と目が合い抱き合っていることに気が付くと段々に顔が赤くなってきた。


「おはよ楓」

「お おはよケンちゃん・・・その・・・朝から大胆だね」


とちょっと照れ笑いしながら話してくる楓・・・キスしたのは俺だけど抱き着いてきたのは楓だからな(恥ずかしがりそうだから敢えて言わないけど)


「お目覚めのキスってところかな。起こしても中々起きないし」

「え?ほんと起こしてくれてたの?」

「そうだよ。さ、お腹空いただろ着替えて朝食に行こうぜ」

「う うん! このホテルの朝食美味しいから楽しみだね」


ということで目を覚ました楓共々軽くシャワーで汗を流し俺達は朝食バイキングを行っているレストランへと向かった。


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昨晩はイルミネーションと星空を楽しませてくれた窓の外の景色は、水平線が見える綺麗な海や伊豆半島の自然を見せてくれていた。

そんな景色を見ながら俺達はトレイに思い思いの料理を取り席に座った。


「やっぱりここの朝食は美味しいよね」

「だな。パンも焼きたてだしメニューも和洋中と朝から豪華だしな。

 俺としてはこのミニクロワッサンがお気に入りかな。美味しいぞ」

「あ、それ私も食べたい! 後で取ってこなきゃ!」

「お勧めだよ。でも美味しいからって食べ過ぎには注意しないとな」

「うっ・・・・そ そうだよね食べ過ぎには注意しないとだよね・・・」


と言って自分のお腹を見つめる楓。

ちっとも太っているようには見えないけどやっぱり女性は気にするのかな。


「楓は気にするほど太ってないだろ?」

「見えないところは色々太ってるんだよ・・・休み中は部活も無いし少しダイエットしなきゃ・・・」

「そんなに気にすることないよ。それに折角美味しい食事なんだから」

「・・・だよね。美味しいよね・・・うんダイエットは明日から頑張る!」


楓・・・明日からってのは多分一番駄目な奴だよ。


「まぁでも部活が始まればカロリーの消費も増えるんだしそんなに無理するなよ。それに・・・たとえ太っても俺は楓の事好きだからさ」

「ケンちゃん・・・それは喜んでいいのか微妙だよ・・・」


微妙と言われてしまった・・・

まぁでも俺としては太るのを気にして食事を残されるよりは美味しいって言いながら沢山食べてくれた方が嬉しいし好きだけどな。


などと食べ過ぎ注意な話をしつつも楓と2人結構な量を食べてしまった。

『仕方ないよね。だって美味しいんだもん』

今日の楓の名言です。


その後、俺達は部屋で荷物を整理し送迎バスに乗って昨日の海浜公園に向かった。チェックアウトは昼までにすればいいんだけど、昨日楓と帰る前に海辺を散歩しようって話をしてたんだよね。


「いい天気だね。海もきれい」

「そうだな。少し肌寒いけど散歩するにはちょうどいい陽気かもな」


海浜公園から防風林となっている松林を抜ける様に遊歩道を歩くと広い砂浜に出ることが出来た。

波の音と潮の香。冬ということで海水浴客は当然居ないけど俺達の様に散歩をしている人がちらほらいる。


「海を見てるとみんなで行った海水浴を思い出すね」

「ああ 楽しかったよな。ビーチバレーとかもしたよな」

「そうそう 紅葉とかバテバテになってたよね」

「はは あれは紅葉と高坂君には悪いことしたよな」


砂浜を歩きながらの会話。

数か月前の話なのに随分前の出来事の様な気もする。

今年はそれだけ色々あったからかなと少し感傷的になっていると楓が足を止めて俺の方を振り向いた。


「ケンちゃん」

「ん?」

「好きだよ」


楓が俺に抱き着いてキスをしてきた。


「どうしたんだよ急に」

「朝のお返し♡ これからもよろしくね」

「ああ こちらこそ」


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「ただいまぁ~」

「お邪魔しまぁ~す」

「おかえりなさい。いい天気だったし楽しい旅行になったでしょ」

「はい いい旅になりました」

「ふふ 2人のイチャイチャぶりは後でたっぷり聞かせてもらうからね。とりあえず夕飯の準備出来てるから早く手だけ洗ってきなさい」

「「は~い」」


川野辺に戻り俺は小早川家に顔を出した。

クリスマスということで五月おばさんが色々と料理を用意してくれてるということだ。五月おばさんの料理は美味しいから楽しみだ。


でも・・・色々聞かれちゃうのかぁ~

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